多忙(静止できないマグロの生涯),健忘(過去),辛抱(画一化)? The habit of constant movement

maguro (現代の)人間が常に動き回る習慣は,大きな価値を持つある種のものを壊しつつある。楽しみとしての読書の習慣は死に絶えつつある。特に新刊本以外の古い本についてはそうである。現在では,農業に従事している人々のみが,一年中その土地から離れないことから生れる郷土の四季に関する知識や郷土の細部の事物に対する親密な愛情を持っている。これにより,昔の詩歌やそれを生み出した感じ方は消え去りつつある

The habit of constant movement is destroying some things which had considerable value. The practice of reading for pleasure is dying out, especially as regards books that are not quite new. Knowledge of the seasons, and the intimate love of places in their detail that comes of remaining immovable throughout the year, are now almost confined to agricultural labourers. This has caused the poetry of the past, and the ways of feeling from which it sprang, to go dead.
出典:On locomotion, Mar. 11, 1932. In: Mortals and Others, v.1 (1975)
詳細情報:http://russell-j.com/IDO.HTM

[寸言]
得るものがあれば失うものもある。日々新たな挑戦(取り組み)がなければ進歩はないが,過去を忘却し失うものが大きすぎる場合は,時には進歩を受け入れない,あるいは別の発展の道を選ぶことも大切となる。

即物的になりすぎるのもよくない。四季折々の,四季を感じられる風物や食べ物があることは,幸せの要素のひとつとなっているが,いつでも入手したいものが入手できるようになるかわりに,あらゆるものが画一化し,大切な情緒の多くのものが失われるとしたら,・・・。

特定秘密保護法,安保法制,マイナンバー導入,アベノミクス(の失敗)等々,気がついた時はもう遅いということにならないように,物事は多面的に考える必要がある。

安い費用で、世界中、個人旅行が「可能」となったが・・・

PERMIT-B 旅行のための旅行をするこれらの人たちは,彼らがもし裕福であれば,世界中どこへ行ってもまったく同じような国際的な高級ホテルに泊まり,母国で既に知っている旅行者仲間と交際する。彼らが貧乏な場合には,通例,旅行先の現地の人々との事務的交渉さえ必要なくしてくれる(添乗員付きの)団体旅行をする。彼らは絵葉書と列車網以外何も経験せずに帰国する。

Such people, if they are rich, stay at cosmopolitan hotels which are exactly alike in all the countries of the world and associate with such of their fellow-travellers as they already know at home. If they are poor, they usually travel in large gangs, with a manner who saves them from the necessity of even business contacts with the natives. They come home having experienced nothing except picture-postcards and the railway system.
出典:On locomotion, Mar. 11, 1932. In: Mortals and Others, v.1 (1975)
詳細情報:http://russell-j.com/IDO.HTM

[寸言]
むしろ,お金がない人のほうが,安上がりにすむ団体旅行を強いられる。
お金があっていろいろ試してみることができる人は,毎回テーマをもって,新たな挑戦をすることができそう。 え? お金があっても時間がない!?
余暇を有意義に過ごすよりも仕事が好きな人は,それはそれでけっこうですが,家族はそう思っていない可能性が高い。
それに元気なうちは,人生は長いと思っている(楽しみは老後に残しておこうと思うかもしれないですが,しかし,いつの世も,人生一寸先は闇ですから・・・。
いつまでもあると思うな親と金、・・・と,時間,健康(生命;貯めたお金を楽しいことに費やせる体力)も・・・。

視野拡大及び共感力涵養のための海外旅行 those who travel merely in order to travel

VIRTUE ヨーロッパにおいては,ある国が別の国よりも明らかに優れているということはない。従って,(ヨーロッパにおいては,)旅行は,人間の視野を拡大し,共感する力を強め,人類についての知識を増やすという効果を有すると言ってよいだろう。この効果は,彼らが訪ずれる外国の住民との間に重要な関係を持たらす仕事をするために旅行する人たちに対しては生ずるが,単に旅行のために旅行する人たちに対しては生じない。

In Europe there is no such obvious superiority of one country to another. It might therefore be expressed that travel would have the effect of broadening men’s outlook, enlarging their sympathies, and increasing their knowledge of mankind. This effect is produced in those who travel in order to do some work which brings them into important relations with the inhabitants of the foreign countries in which they find themselves, but not in those who travel merely in order to travel.
出典:ラッセル『アメリカン・エッセイ集』の中の「場所の)移動について」
詳細情報:http://russell-j.com/IDO.HTM

[寸言]
海外旅行は見聞を広めるための大変良い機会ですが,観光業者が用意した快適な観光資源(観光開発地区・観光施設・催し物・お手頃な食事や文化情報など)を楽しむことが中心ならば、長い目で見れば、一時的な快楽に終わりそうです。相手国に利益をもたらしますので,国際交流や世界平和の一助にはなりますが・・・。

我々の抱える問題を共有(実感)しない人達がその問題に対して示す楽観主義

SELECT-R 楽観主義はそれが信頼できる間は気持ちがよいが,一旦信頼できなくなればそれは人をひどくいらだだせる,というのが真実である。特に腹ただしいのは,われわれの抱える問題を共有しない人たちがその問題に対して示す楽観主義である。他人の問題(トラブル)をみて楽観的なことを言うことは,その問題の解決あるいは軽減のためのかなり具体的な提案を伴わないかぎり,非常に危険である。医者は,患者の病気に対してそれを治す処方を用意できるならば,楽観的なことを言う資格がある。しかし,「そのうち,良くなるさ」などと言うだけの友人には,われわれは腹をたてる。

The fact is that optimism is pleasant so long as it is credible, but when it is not, it is intensely irritating. Especially irritating is the optimism about our own troubles which is displayed by those who do not have to share them. Optimism about other people’s troubles is a very risky business unless it goes with quite concrete proposals as to how to make the troubles disappear or grow less. A medical man has a right to be optimistic about your illness if he can prescribe a treatment which will cure it, but a friend who merely says. ‘Oh, I expect you will soon feel better.’ is exasperating.
出典:On optimism, Mar. 16, 1931. In: Mortals and Others, v.1 (1975)
詳細情報:http://russell-j.com/OPTIMISM.HTM

[寸言]
安部首相が音頭をとり,財界などが囃し立てる「アベノミクス」。
消費税の値上げは必要だとしても,やる場合は(5%から8%に上げる時に),少なくとも食料品などは現行据え置きかあるいは非課税とすべきでした。それは技術的に難しいからということで見送られましたが,大企業に務めている人間以外の多くの人が,やりくりが厳しくなっており,特に低所得者,生活保護世帯,年金生活者などにしわ寄せがいっています。
現政府や財界人,大企業に務めている人たちの基本的な発想は,強いもの(富める者)がより強くなれば(富めば),いずれ弱いもの(貧しい者)にもそのおこぼれがいく,といったもの(注:トリクルダウン・セオリー)です。「まず富める者から富めよ」というスローガンを掲げた(今は亡き)中国の鄧小平と同じです。

ラッセルが言うように,,「特に腹ただしいのは,いつも後回しにされる人々の抱える問題を共有(また実感)しない人たちが,その問題に対して示す楽観主義」(「そのうち低所得者層にも恩恵が行き渡るさ」など)です。
表面上いくら丁寧に,全国民のことを考えている,と言っても,(たとえば原発は最小限にしてできるだけ自然エナルギーにしていくと言いながらさかんに海外に日本の原発や原発技術を売り込むようなことをしたり,武器輸出を大幅解禁したり,カジノ法案を通そうとしたりしているようでは虚しく響きます。

巧言令色鮮し仁(こうげんれいしょくすくなしじん)」
【意味】 言葉巧みで、人から好かれようと愛想を振りまく者には、誠実な人間が少なく、人として最も大事な徳である仁の心が欠けているものだ。

良い形(望ましい形)での現実逃避 the desire to escape from reality

kibou-br 精神分析家は,現実逃避の欲求は非常に悪いものだと言うが,私には,それは誇張であり,ある種の重要な区別がなされていないように思われる。現実逃避は,それによって妄想を生み出したり,自分の仕事をなまけたりするような場合には,悪いものとなる。・・・。
しかしこれとは異なり,まったく望ましい形の現実逃避がある。モーツァルトは,想像の世界に逃げ込むことによって,借金取りと借金を忘れるために,よく作曲した。もしもモーツァルトが,著名な精神分析家たちの助言に従っていたならば,作曲をするかわりに,収入と支出からなる貸借対照表を注意深く作成し,収支のバランスをとることによって,節約の工夫をする仕事にとりかかっただろう。モーツァルトがそうしたならば彼自身は収入を失ない,我々は彼の音楽を失なったであろう。

We are told by psychoanalysis that the desire to escape from reality is a very bad thing, but to my mind they exaggerate and fail to make some necessary distinctions….
But there are other forms of escape from reality which are wholly desirable. Mozart used to compose music in order to forget his duns and his debts by escaping into a world of phantasy. If he had followed the advice of eminent psychoanalysts, he would instead have drawn up a careful balance sheet of receipts and expenditures and set to work to devise economies by which the two could be made to balance. If he had done this, he would have lost his income, and we should have lost his music.
出典:Flight from Reality, Mar. 2, 1932. In: Mortals and Others, v.1 (1975)
詳細情報:http://russell-j.com/FLIGHT-R.HTM

[寸言]
何が「現実」であるかは人によって一様ではない。この世の中は「生きるか死ぬかの生存競争の世界だ」と信じきっている人は,「競争(を通じての成功)“を過大評価し,「努力をしなかった(努力が足りなかった)」人間が経済的に苦しむことはいたしかたないことだと考え,経済的格差は(人間を怠惰にさせないためにも)必要だと内心考える。そうして,「競争崇拝」によって,落ちこぼれ,苦しむ人々を生み出しているという側面を見て見ぬふりをする。
「競争」をひとくくりにするのではなく,「悪い」競争と,比較的「良い」競争との区別をしっかりする必要がある。限られた資源を奪い合う(所有欲に基づく)「競争」はよくないが,新しいものを生み出そうとする(創造欲に基づく)「競争」はよい。特に,精神的な創造行為は,他人を傷つけることはないので,望ましい人間的営みである。
ラッセルの次の言葉を味わいたい。与謝野晶子ほか,大正時代の日本の知識人の多くに影響を与えた言葉である。(大正時代にラッセルが日本に訪れた前後に期間に,日本にも「ラッセル・ブームが起こったことを若い人にも知ってもらいたい。
次のページにラッセル来日時に毎日日本の新聞に掲載されたラッセルの動静をまとめてある。
http://russell-j.com/R4HOME.HTM#mark4

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最良の生活とは,創造的衝動が最大限に発揮され,所有衝動が最小限に現れる生活です
(共有しえない物を入手したり,保有したりしようとする「所有衝動」と,隠したりまたは私有する必要のないものをこの世の中にもたらしたいという「創造衝動」)
The best life is one in which the creative impulses play the largest part and the possessive impulses the smallest.
出典:ラッセル「所有衝動と創造衝動」(Bertrand Russell: Political Ideals, 1917, chapt. 1)
詳細情報:http://russell-j.com/beginner/2-IMPULS.HTM
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現代人が大部分の事柄についてあえて自分の意見を持とうとしないのは・・・

RATIONAL 人間が受動的になったのは,娯楽面ばかりではなく,自分が専門家でないありとあらゆる技術と知識の形態においてそうである。昔の農民は天候に詳しかったが,現代人は明日の天気について自分の意見をもちたいときには(新聞掲載の)公的な天気予報を読む。現代人は新聞(注:今でいえばテレビなど)を見なければ,「現在」雨が降っているか晴れているかさえわからないらしい、という印象を私は時折持ったことがある(皮肉)。現代人はまちがいなく新聞(注:テレビなど)を通して政治や世界情勢や昔の厳格な美徳にもどる必要性について自分の意見をつくりあげる。現代人が大部分の事柄についてあえて自分の意見を持とうとしないのは,特別な学識や経験を持つ人々の権威の保障のもとに物を言ったほうが安全だ,と確信しているからである。

It is not only in regard to amusements that men have grown passive, but also in regard to all those forms of skill and all those departments of knowledge in which they are not themselves experts. The old-fashioned farmer was weather-wise, whereas the modern man, if he wishes to form an opinion as to what the weather is going to be, reads the official weather forecast. I have sometimes had the impression that he cannot even tell whether it is wet or fine at the moment without the help of his newspaper. Certainly it is from his newspaper that he derives his opinions on politics and the state of the world and the need of a return to the rugged virtues of a former age. On most matters he does not trouble to have opinions at all, since he is convinced that they can safely be left to those whose special study or experience entitles them to speak with authority.
出典:Are we too passive? Feb. 3, 1932. In: Mortals and Others, v.1 (1975)
詳細情報:http://russell-j.com/PASSIVE.HTM

[寸言]
世の中はますます複雑になるばかりであり,専門的な知識や経験が必要な分野についてはなかなか自分独自の意見や判断を持つことが困難になってきている。
そこで,識者(学識経験者),タレント評論家,あるいは(自分にとっての)アイドルの意見を知りたがり,あの人が言っているのならと,とりあえず自分の意見らしきものとして採用する。
果として自分が選んだ判断が間違っていても,あの人も間違ったのだからと,簡単に自分を許し(赦し),深刻な反省の機会にするようなことはしない,人が少なくない。 

世論を無視する勇気 Indifference to public opinion

DOKUSH60 肉体的な危険以外の事柄について勇気のある男性は,それがどのような事柄であれ,良くは思われない。たとえば,世論を無視することは,一つの挑発(行為)とみなされ,その権威をあえて馬鹿にした人を,世間は,あらゆる手段をつくして罰しようとする。これらはすべて,あるべき姿にまったく反することである。
(しかし)男女を問わず,あらゆる形の勇気は,軍人において肉体的な勇気が称賛されるのと同様に,称賛されなければならない。

The man who is courageous in any matter except physical danger is also thought ill of. Indifference to public opinion, for example, is regarded as a challenge, and the public does what it can to punish the man who dares to flout its authority. All this is quite opposite to what it should be.
Every form of courage, whether in men or women, should be admired as much as physical courage is admired in a soldier.
出典:The Conquest of Happiness, 1930, chapt. 5: Fatigue.
詳細情報:http://russell-j.com/beginner/HA15-070.HTM

[寸言]
多数意見に従っておけば安心」ということで,あくまでも自分の頭で考え,自分で判断するということをしない人が少なくない。その深層心理は,多数意見に従っておけば,間違っていることが後からわかっても,多くの人が間違ったのだからと,自分を簡単に許すことができるからかも知れません。(街頭インタビューの答えがつまらない理由はこの態度で多くの人が答えるから。)

他国と戦争になった時に,反戦の立場に立つと,「臆病者」よばわりされたり,「非国民」のレッテルを貼られたりします。戦争というのは極端な場合ですが,世間の多数意見に反対するときにはかなりのエネルギーや勇気が必要です。しかし,残念ながら,日本社会はそういったものに対する寛容度がまだ低いと言わざるをえません。(反戦デモをしていたことがわかると就職に不利とか・・・。

「無意識に」有益な仕事をさせる the unconscious can be led to do a lot of useful work

BR-WOW意識的な思考を無意識の中に植えつけることは可能である,と私は信じている。無意識の大部分は,かつては非常に情緒的な意識的思考であったが現在では意識下に埋め込まれてしまったもので成り立っている。この意識下に埋め込む過程を意図的にやってみることは可能であり,このようにして,無意識に有益な仕事をいろいろさせることができる。たとえば,私があるかなり難しい話題について書かなければならないとした場合,最良の方法は,その話題について,非常に強烈に,自分に可能なかぎりの最大級の強度(集中力)をもって数時間ないし数日間考え,その期間の最後に,いわば,この作業を地下で続行せよと命令する,というやり方である。何ケ月か経過してから,その話題に意識的に立ち返ってみると,その作業はすでに終わっているのを発見する。

My own belief is that a conscious thought can be planted into the unconscious if a sufficient amount of vigour and intensity is put into it. Most of the unconscious consists of what were once highly emotional conscious thoughts, which have now become buried. It is possible to do this process of burying deliberately, and in this way the unconscious can be led to do a lot of useful work. I have found, for example, that if I have to write upon some rather difficult topic the best plan is to think about it with very great intensity – the greatest intensity of which I am capable – for a few hours or days, and at the end of that time give orders, so to speak, that the work is to proceed underground. After some months I return consciously to the topic and find that the work has been done.
出典:The Conquest of Happiness, 1930, chapt. 5: Fatigue
詳細情報:http://russell-j.com/beginner/HA15-050.HTM

[寸言]
現実を直視するのが怖くていやなものから目をそらしたり,考えないようにしたりするのではなく,考えるべきときに徹底的に考える習慣をつければ,難しい問題も知らないうちにふと解決策を思いついたりできるようになる,というのが,ラッセルが経験から学んだことであり,皆さんも是非実践してみてください,という勧めです。

意識の無意識への働きかけの活用 the operation of the unconscious upon the conscious

brain-300x225 無意識の意識への働きかけについては,これまで,心理学者による研究がかなりなされてきているが,意識の無意識への働きかけについては,研究があまりなされてきていない。しかし,後者(意識の無意識への働きかけ)は,精神衛生の分野で非常に大きな重要性を持っており,もし理性的な確信が無意識の領域で(も)いつも働くべきであるとするならば,理解されなければならない。

There has been a great deal of study by psychologists of the operation of the unconscious upon the conscious, but much less of the operation of the conscious upon the unconscious. Yet the latter is of vast importance in the subject of mental hygiene, and must be understood if rational convictions are ever to operate in the realm of the unconscious.
出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.5: Fatigue
http://russell-j.com/beginner/HA15-050.HTM

[寸言]
ラッセルは,無意識を無理やり押さえつけるために,無意識の世界に現在の意識を植え込もうと主張しているわけではありません。,よい習慣(良い思考習慣も含む)をたくさん身につけることによって,不合理な無意識(ばくぜんとした不安や心配も含む)が人間に悪い影響を与えないようにしようと言っています。

年をとり,要職についた人は・・・

KAMI-ST 組織が現代社会において不可欠である以上、要職にある人たち若者のとっぴな考えを大目に見る心を養わないかぎり、この不幸から抜け出す道はまったくない。人は重要なポストにつくと忠告の言葉に耳を傾けなくなるので、自分の考えを改める望みがなくなる。不幸なことに通例、若者の(資質や能力の)向上は、年をとり要職についた人たちの手で行なわれている。30歳以上の人間を学校の校長にしてはいけないと私は提案したい。しかし、この賞賛すべき改革案が採用されることはほとんどないだろうと思う。

Since organisation is inevitable in the modern world, there is every no way out of this trouble except to imbue the men in important positions with toleration for the vagaries of the young. When men have already become important there is, of course, no hope of improving them, since they will no longer listen to advice. Unfortunately, the improvement of the young is generally left to those who have already become old and important. I can only suggest that no school should have a head more than thirty years of age. But I hardly expect to see this admirable reform adopted
出典:On being good, Nov. 18, 1931. In: Mortals and Others, v.1 (1975)
詳細情報:http://russell-j.com/BEING-G.HTM

[寸言]
裸の王様に対し側近我慢・保身を第一とすると,多くの人が迷惑をこうむります。
あんなに大変な人の下でよく我慢できた → どんなところでもやっていける → 優秀だ ということで役人(官僚)昇進していきます。しかしそういった裸の王様に諫言しないことにより,多くの人(部下)が迷惑を被るという側面があります。あの上司が,保身を考えずに,裸の王様にしっかり言ってくれていたならば・・・。
やはり「優等生であること」は,特に国の機関では偉くなるための必要条件ですね。
そこで先日,「ラッセルの言葉366」で配信した、ラッセルの次の格言(ひどい上司や権力者に従順な理由)が活きてきます。
理由としては2と3が該当します。

人と協力するには三つの理由がある。一つは相手を愛するからであり,★一つは相手を恐れるからであり,★もう一つは不正な利得にあずかりたいと望むからである。これらの三つの動機は,人間の協力が必要なそれぞれの領域において,それぞれ異った重要性を持つ。第一の動機は’生殖’を支配し,第三の動機は’政治’を支配する。」