無意識の意識への働きかけについては,これまで,心理学者による研究がかなりなされてきているが,意識の無意識への働きかけについては,研究があまりなされてきていない。しかし,後者(意識の無意識への働きかけ)は,精神衛生の分野で非常に大きな重要性を持っており,もし理性的な確信が無意識の領域で(も)いつも働くべきであるとするならば,理解されなければならない。
There has been a great deal of study by psychologists of the operation of the unconscious upon the conscious, but much less of the operation of the conscious upon the unconscious. Yet the latter is of vast importance in the subject of mental hygiene, and must be understood if rational convictions are ever to operate in the realm of the unconscious.
出典:The Conquest of Happiness, 1930, chap.5: Fatigue
http://russell-j.com/beginner/HA15-050.HTM
[寸言]
ラッセルは,無意識を無理やり押さえつけるために,無意識の世界に現在の意識を植え込もうと主張しているわけではありません。,よい習慣(良い思考習慣も含む)をたくさん身につけることによって,不合理な無意識(ばくぜんとした不安や心配も含む)が人間に悪い影響を与えないようにしようと言っています。