小利口だが知恵の乏しい人間-ゆっくり考えることを許さない社会風潮

DOKUSH34 今の世の中には,時間のゆとりがほとんどないが,それは,昔よりも人々が忙しく働いているからではなく,楽しみを持つことが仕事同様に’努力を要する事柄’になってしまっているためである。その結果,人間は小利口にはなったが,知恵が少しずつ’蒸留’される’ゆったりと考える時間(余裕)’を持てないために,知恵は減少してしまった。

In the modern world there is hardly any leisure, not because men work harder than they did, but because their pleasures have become as strenuous as their work. The result is that, while cleverness has increased, wisdom has decreased because no one has time for the slow thoughts out of which wisdom, drop by drop, is distilled.
出典:Mortals and Others; Bertrand Russell’s American Essays, v.1
詳細情報:https://russell-j.com/MEDITATE.HTM

<寸言>
ichioku-sokatuyaku_abe 知性や知恵を身につけることを目指す者よりも、権力に従順で小利口な人間が多くなっている現代為政者や権力を保持し続けたい人間にとってそういう傾向は都合がよい。政治家にとっても,近視眼的な経営者や資本家にとっても,「一億総活躍」の号令にのっかってくれる人間が増えることは,自らの力を保持し続けるために大変ありがたい風潮であろう。

ゆっくり考えることを許さない社会
ゆっくり,ぼんやりしてたら,落ちこぼれになるか,自分は落ちこぼれではないと思っても落ちこぼれだとレッテルを貼られたりされしそう・。
みんな忙しそうに働き,小利口に振る舞い,みんなが言いそうなことを言っていれば孤立することなく無難ということで・・・。
哲学なんかを研究していると言えば,「変わり者」というレッテルを貼られてしまう。
にかく,成果をあげなくちゃ,実績を積まなくちゃ,怠惰はいけない,グローバリズニに乗り遅れるな,小学校から英語教育を・・・,愛国心教育が重要などなど
・・。気がついたら墓場が近くなり・・・,自分が決めた人生を歩んできたのかと反省してももう遅い・・・。