我々は,誤魔化しに満ちた世界に住んでいる。誤魔化すことなく育てられた子供は,通常尊敬に値すると考えられている多くの事柄をきっと軽蔑する(軽蔑するように運命づけられている)。・・・。正直(誠実)であることは,偽善に満ちた社会においては,ちょっとしたハンディキャップになる。しかし,このハンディキャップは,恐怖心を持たないという利点によって,十二分に償われる。恐怖心があれば,だれ一人として,真実を語ることはできないのだ。私たちは,わが子が公平で,正直で,卒直で,自尊心のある人間になってほしいと願っている。私としては,わが子が奴隷の技能で成功するよりも,むしろ,こういう性質をもって失敗するのを見たいと思っている。・・・。私は,たとえ世俗的な不幸を招くとしても,わが子には思想と言葉(発言や論文執筆)において正直(誠実)であってほしいと思っている。なぜなら,富や名誉よりも重要なものが問われているからである。
We live in a world of humbug, and the child brought up without humbug is bound to despise much that is commonly thought to deserve respect. … Truthfulness is something of a handicap in a hypo-critical society, but the handicap is more than out-weighed by the advantages of fearlessness, without which no one can be truthful. We wish our children to be upright, candid, frank, self-respecting; for my part, I would rather see them fail with these qualities than succeed by the arts of the slave. … I would have my children truthful in their thoughts and words, even if it should entail worldly misfortune, for something of more importance than riches and honours is at stake.
出典: On Education, especially in early childhood, 1926, Pt. 2:Education of character, chap. 8: Truthfulness
詳細情報:http://russell-j.com/beginner/OE08-090.HTM
[寸言]
偽善,へつらい,臆病さ,奴隷根性,(権力者の意向の)忖度,競争での成功の過度の強調,敗者と勝者に分けたがる心性,・・・。
この世は誤魔化しに溢れており、思ったことをそのまま口にすれば不利になるかも知れないということで、上位の者(それぞれの組織において力を持っている者)の考えや気持ちを忖度し、(近くにそういう者がいないと安心しない限り)権力を持つ者の意にそわないように無難な言動につとめる。
そうして欲求不満が貯まり、橋本徹や◯◯やトランプやボリス・ジョンソン(やヒトラー)など、欲求不満の対象をぶち壊してくれそうな強い人間に期待する。破壊の後が、現在以上にひどい状況になったとしてもである。