親を喜ばせるために勉強をやるのではないことを早いうちから理解させる

ojyuken-hachimaki 子供たちは,正しい事を適切に教えられるかぎり,勉強したがる。幼いころに食事や睡眠について犯しているのと同じような誤りを,知識を授けるときにも犯している。つまり,実際に子供にとって利益になることが,一見おとなにとって都合の良いことだと(子供の目に)映るようになされている。幼児は,自分が食べたり眠ったりするのは,ただおとながそれを望んでいるからだ,と容易に考えるようになる。これでは(注:たとえば眠くて食欲がないのに無理やり食べさせると),不眠症が原因で消化不良になってしまう。子供は病気でないかぎり,(無理やり食べさせずに)食べ物を残させ,お腹がすくようにさせよう。私の息子は,保母になだめすかされて食事をしていて,しだいに「気むずかしく(difficile フランス語)になっていった。ある日,彼に昼食をあげていたとき,プディングを食べるのをいやがったので,私たち(夫婦)はそれを下げさせてしまった。しばらくして,息子はプディングをまた持ってきてほしいと言い出したが,結局,料理人が食べてしまっていたことがわかった。息子は,びっくりぎょうてんし,もう二度と私たちにそういうふり(注:空いていないふり)はしなくなった。

Einstein_curiosityChildren like to learn things, provided they are the right things properly taught. The same mistake is made in imparting knowledge as is made, at an earlier stage, in regard to food and sleep : something which is really an advantage to the child is made to appear like a favour to the adult. Infants easily come to think that the only reason for eating and sleeping is that grown-ups desire it ; this turns them into dyspeptic sufferers from insomnia (note: See Dr. H. C. Cameron, The Nervous Child, chaps. iv. and v.). Unless a child is ill, let it leave its food and go hungry. My boy had been coaxed into eating by his nurse, and had grown more and more difficile. One day when we had him for his midday meal he refused to eat his pudding, so we sent it out. After a while he demanded it back, but it turned out that the cook had eaten it. He was flabbergasted, and never made such pretences with us again.
出典: On Education, especially in early childhood, 1926, Pt. 2:Education of character, chap. 9: Punishmnet
詳細情報:http://russell-j.com/beginner/OE09-040.HTM

[寸言]
勉強するのは親を喜ばせるためではなく、その子ども(自分)のためだと理解させることが重要。そのことを理解し、いろいろ知りたいという好奇心を引き出すことができれば、後は、自分で継続的に勉強する習慣がついていくであろう。ただし、親にそういった好奇心がなく、刹那的な快楽を求めるようであれば、多くの子どももいずれはそのまねをすることになりやすい。「この子にしてこの親あり」と同じく、「この親にしてこの子あり」。