★私の質問
以下は、バートランド・ラッセル(Bertrand Russell)が1943年に発表した「Outline of Intellectual Rubbish」に出てくる英文と、私の日本語訳です。
<<ラッセルの英文>>
We tend to believe the premises because we can see that their consequences are true, instead of believing the consequences because we know the premises to be true. But the inferring of premises from consequences is the essence of induction; thus the method in investigating the principles of mathematics is really an inductive method, and is substantially the same as the method of discovering general laws in any other science.
Source: Bertrand Russell : “The Regressive Method of Discovering the Premises of Mathematics” (1907), in Essays in Analysis (1973)
<<私の日本語訳>>
私達は、前提が真実であることを知っているから結果を信じるのではなく、その結果が真実であることを知ることができる(分かる)から前提を信じる傾向がある。しかし、結果から前提を推論することは、帰納法の本質である。従って、数学の原理を調べる方法は、まさに帰納法であり、他の科学における一般法則を発見する方法と実質的に同じである。
ここで疑問が湧いてきます。
ここでラッセルがここで言っている「induction(帰納法)」は、「mathematical induction(数学的帰納法)」のことだと思われます。
ラッセルは別のところでは、ウィトゲンシュタインの影響を受けて、「演繹法(deduction)はトートロジーにすぎない、つまり何も新しいものを生み出さない」と言い、また、「帰納法(induction)」は間違った推論の源泉であり、頼りにならないと言っています。
それから、Wikipedia では、「数学的帰納法(mathematical induction)を用いた証明は帰納(induction)ではなく、純粋に自然数の構造に依存した演繹論理の一種であある」と記述しています。
そうであるならば、ラッセルの主張「the method in investigating the principles of mathematics is really an inductive method, and is substantially the same as the method of discovering general laws in any other science.」はどういったニュアンスで言っているのかよく理解できません。数学的帰納法と科学における帰納法とは異なるからです。
ラッセルの発言をどう解釈すればよいでしょうか?
★ChatGPTの回答
ラッセルの主張は、数学の原理を発見するための方法は、他の科学分野で一般法則を発見する方法と実質的に同じであるということです。彼は、この方法が帰納法であると説明していますが、これは数学的帰納法ではなく、より一般的な科学的帰納法を指しています。彼が提唱する帰納法は、経験的事実から一般原理を導き出す手法であり、数学においても同様に、特定の数学的事実を基にして一般原理を導き出すことができます。
ラッセルは、帰納法が頼りにならないと主張している点において、科学的帰納法に対する批判を行っています。しかし、彼が述べた「the method in investigating the principles of mathematics is really an inductive method」という主張は、数学において一般的に用いられる数学的帰納法ではなく、より広義の科学的帰納法を指していると解釈できます。
つまり、彼の主張は、数学においても一般的な科学においても、経験的な観察を基にして一般原理を導き出す帰納的な手法が重要であるということです。ただし、数学において用いられる数学的帰納法は、厳密な論理的手法であり、一般的な科学的帰納法とは異なることに注意する必要があります。
★私の質問2
ラッセルは帰納法という言葉を、数学的帰納法の意味で使ったり、一般的な科学的な帰納法という意味で使ったりします。ここでの帰納法は一般的な科学的帰納法であるというなら理解できます。それなら「広義の帰納法」と書いてもらいたいところです。そのニュアンスの違いは、induction ではなく、an inductive method と表現しているところに現れていると言えるでしょうか?
★ChatGPTの回答2
はい、そのように解釈することができます。ラッセルは、「an inductive method」という表現を用いることで、数学的帰納法と一般的な科学的帰納法との違いには触れず、数学と他の科学の両方に共通する、ある種の一般的な帰納的な方法を指していると解釈できます。また、確かに「広義の帰納法」という表現があった方が、より明確な表現となるでしょう。//
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