豊かな中小都市づくりをせずに、効率第一に大規模都市づくりを優先

TOKYO, JAPAN - 1997/10/01: Rush hour at Shibuya subway station in Tokyo. (Photo by Gerhard Joren/LightRocket via Getty Images)
TOKYO, JAPAN – 1997/10/01: Rush hour at Shibuya subway station in Tokyo. (Photo by Gerhard Joren/LightRocket via Getty Images)

ロンドンニューヨークのような都市は,非常に大きいので,市外へ出るにはずいぶん時間がかかる。都市に住んでいる人びとは,通例,フラット(flat: 同一の階に1戸分の住まいがあるアパート/つまりメゾネット・タイプになっていないということであり,同一階に複数の世帯がある。)で満足しなければならないし,もちろん,個々のフラットには1インチ平方の土地もくっついておらず,また,そこでは,みの収入の人びとは最小限のスペースで満足しなくてはならないもしも幼い子供がいる場合,フラット住まいは困難である。子供たちには遊び場がなく,また,両親には子供たちの騒々しさから逃れる場所がない。その結果,専門的な職業についている人たちは,ますます郊外に住む傾向がある。これは,疑いもなく,子供の立場からは望ましいことであるが,父親の生活の疲れをかなり増し,家族の中で果たしうる父親の役割を大幅に減らすことになる。

Cities like London and New York are so large that it takes a very long time to get out of them. Those who live in the city usually have to be content with a flat, to which, of course, not a square inch of soil is attached, and in which people of moderate means have to be content with the absolute minimum of space. If there are young children, life in a flat is difficult. There is no room for them to play, and there is no room for their parents to get away from their noise. Consequently professional men tend more and more to live in the suburbs. This is undoubtedly desirable from the point of view of the children, but it adds considerably to the fatigue of the man’s life, and greatly diminishes the part which he can play in the family.
出典:ラッセル『幸福論』第13章「家族」
詳細情報:https://russell-j.com/beginner/HA24-030.HTM

<寸言>
毎日長い時間をかけて通勤する(時間を費やす)ことによる弊害。それがいやだということで,一般の賃金労働者が都心で住めば,住居は狭く,空き地などの遊び場がないので活動的な子供は不幸となる。
これは、経済効率第一に大都市中心の政策(補助金政策、住宅政策、交通整備対策、その他)を推し進めている結果豊かな環境を備えた中小都市づくりに国が力を入れてきたらこのようなことにはならないであろう。政治と経済の癒着東京に全て集中させていることからいっそう起こりやすくなっている。政治と経済の分離大地震対策からも是非必要。(ニューヨークとワシントン/メルボルンとキャンベラ/北京と上海/リオデジャネイロとブラジリア/ベルリンとボン/その他、首都機能と経済機能を分離しているところはかなりある。)
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