「ウィン、ウィンの関係?」-犠牲者はいないかのごとく・・・

competition-tor-survival それゆえ,人びとが生存競争という言葉で意味しているものは,実際は,成功のための競争にほかならない。この競争に参加しているとき,人びとが恐れているのは,明日の朝食にありつけないのではないか,ということではなくて,隣人に勝る(勝つ)ことができないのではないか,ということ(恐れ)である。

What people mean, therefore, by the struggle for life is really the struggle for success. What people fear when they engage in the struggle is not that they will fail to get their breakfast next morning, but that they will fail to outshine their neighbours.
出典:ラッセル『幸福論』第3章「競争」
詳細情報:http://russell-j.com/beginner/HA13-010.HTM

<寸言>
3-Outcome-of-Conflict 勝者がいれば敗者も必ず多数でてきます。よく「ウィン・ウィンの関係」を築くことの重要性を強調する人が少なくないですが,過当競争によって,多数の犠牲者や敗者が出ることに目をつぶっていることに対する「煙幕」や」免罪符」にもなっています。「勝ち組」とか「負け組」とかいう言葉を無神経な人が少なくないのも残念です。

ラッセルのこの文章の少し前に,こう書かれています。

「さて,ビジネスマンが”生存競争”と言うとき,彼が言おうとしているのは,そういうことではない。”生存競争“というのは,本質的に些細な事柄をもったいつけるために見つけた不正確な言いまわしである。」