恋愛と結婚(との関係あるいは混同)

famous-quotes-about-love-marriage-by-bertrand-russell-italy-and 現代のトラブルの多くは,詩的で無政府的衝動であるロマンチックな恋愛を,単なる社会制度にすぎない結婚と混同することに由来している。フランス人はこの種のまちがいをおこさない。だから概して,彼らはこの点で英語を話す国民よりもずっと幸福である。

A great deal of our modern trouble has come from mixing up romantic love, which is a poetic and anarchic impulse, with marriage, which is a social institution. The French have not made this mistake, and on the whole they are considerably happier in these respects than English-speaking nations
出典: Sex and happiness (written in Aug. 5, 1931 and pub. in Mortals and Others, v.1, 1975.]
詳細情報:http://russell-j.com/SEX-HAPY.HTM

<寸言>
russell_and_edith ラッセルの結婚観は realistic(現実主義的) ,恋愛観は idealistic(理想主義的) であると言ったらよいでしょうか?
恋愛と結婚についての考え方は人様々ですが,結婚制度の法的意味合いを軽視している人が多いように思われます。法律は犯罪防止や弱者保護の側面が大きいですが,結婚や離婚及び性道徳については、弱者保護の視点が重要となります。たとえば「離婚」について言えば,離婚によって不利益を受ける弱い人間(妻,夫,子供,ケースによっていろいろ)を保護するという側面が重要です。
ラッセルの『結婚と性道徳(通称、結婚論)』1929年に出版されましたが、主張が過激だ(進歩的すぎる)と非難されました。それが原因で,ラッセルを招聘しようとしたニューヨーク市高等教育局が裁判に敗け,ラッセルのニューヨーク市立大学教授の任命が取り消されてしまいました。
しかし、第二次世界大戦後、性の自由化が進み、ラッセルの主張の多くは常識化し、1950年には『結婚論』も受賞理由の一つにあげられ、ノーベル文学賞を受賞しました。