利用したいところだけツマミ食いして利用する政治家-日本では常態です!

nakatani_tuihonne 大きな期待を持ったひとときがあった。それは、国防大臣のダンカン・サンディス(Edwin Duncan Sandys, Baron Duncan-Sandys、1908-1987)が私のその本を推薦する文を書き、その本について私と語り合いたいと言った時である。彼は保守党員であり、英国政府の政策立案者でもあった。しかもこうした問題に関するあるパンフレットづくりに協力していた。ところが、私が彼に会いに行った時、彼はこう言った。「これはたいへんいい本です。しかし、必要なのは単に核兵器撤廃ばかりでなく、戦争そのもの禁止です」。 私は、その本の中で、核戦争をひき起こさないよう世界に保証を与える唯一の道は戦争をなくすことであると述べている部分を指摘したが、無駄だった。彼は私がそれほど聡明なことを言いえていないと信じ続けた。彼は私の論じた他の議論を退けた。私は失望し、彼のもとを去った。私は、私の本を読み既に知識を持っている人たちは大部分、自分のとり入れたいと思うところだけをとり入れようとする強い先入感をもって読むだろうということを悟った。そこで私は、その後数ケ月間、CNDや他の諸所の集会で演説をしたり、放送をしたりといった、その時々の仕事や自分自身の人生を楽しむ生活に戻った。

I had one moment of high hope when the Minister of Defence, Duncan Sandys, wrote commending the book and saying that he would like to talk with me about it. He was a Conservative, and a policy-maker in a national Government, and had collaborated in a pamphlet on the subject himself. But when I went to see him, he said, ‘It is a good book, but what is needed is not only nuclear disarmament but the banning of war itself’. In vain I pointed out the passage in my book in which I had said that the only way to ensure the world against nuclear war was to end war. He continued to believe that I could not have said anything so intelligent. He cast my other arguments aside. I came away discouraged. I realised that most of the already informed people who read my book would read it with a bias so strong that they would take in only what they wished to take in. For the following months, therefore, I returned to the piecemeal business of speaking at meetings, CND and other, and broadcasting, and to the pleasures of my own life.
出典: The Autobiography of Bertrand Russell, v.3:1944-1969 (1969)
詳細情報:https://russell-j.com/beginner/AB33-070.HTM

[寸言]
panama-papers_kyoshano-tengoku 政治家が調子の良いことを言っても大部分信じるに値しないことはわかっているはずなのに,同じような期待をして裏切られても「◯×よりはましだ」という世論づくりによって騙されて,現状維持を容認し続ける選挙民。

「国防関係」は,どこの国においても、愛国主義を看板にしながら権力者や軍需産業が堂々と利益を得られる,費用対効果がすぐれた分野。賄賂が横行しても,特定秘密保護法に守られて安心して、国民やマスコミの目を盗んで蓄財に励むことができる。その利益は、タックスヘブンなどを利用して「節税」(法律が未整備なので法律に触れない!)につとめることができる。

 パナマ(強者の天国)良いと~こ、一度~はおいで、ドコイショ・・・」