強国はどこも過去に大量破壊兵器を使用していた

731butai_bookcover この国際法廷(ラッセル法廷)は, --これについてはヴェトナムに関する私の著書に書いてあるが--, 全世界にわたって広く一般の関心をひきつけた。南ヴェトナムを服従させようとするその不当な(不正な)企てにおける米国の信じられないほどの残酷さを広く世界に知らせる助けとなる何らかの効果的な手段はないか,私は4年間にわたって探し求めていた。朝鮮戦争当時,私は,アメリカ人が大量破壊の新しい生物・化学兵器の試験場(実験場)として朝鮮戦争を利用したといって米国を非難したジョセフ・ニーダム教授(Joseph Terence Montgomery Needham, 1900-1995:英国の生化学者で中国科学史の権威)やその他の人々の主張(申し立て)を信ずることができなかった。私は,そのような非難を極端すぎると考えていたことに対して,ジョセフ・ニーダム教授およびその他の方々に心からお詫びをしなければならない。1963年にいたって,私はそれらの主張が正しかったことを確信するようになった。というのは,それと同様の主張(申し立て)が,ヴェトナム(戦争)における米国(の行為)に対してなされなければならないことが明らかだったからである。

The Tribunal, of which my Vietnam book told, caught the imagination of a wide public the world over. For four years I had been searching for some effective means to help make known to the world the unbelievable cruelty of the United States in its unjust attempt to subjugate South Vietnam. At the time of the Korean War I had been unable to believe in the allegations brought by Professor Joseph Needham and others charging the Americans with having used that war as a proving-ground for new biological and chemical weapons of mass destruction. I owe Professor Neednam and the others my sincere apologies for thinking these charges too extreme. By 1963, I had become convinced of the justice of these allegations since it was clear that similar ones must be brought against the United States in Vietnam.
出典: The Autobiography of Bertrand Russell, v.3:1944-1969 ,chap4:The Foundation,(1969)
詳細情報:http://russell-j.com/beginner/AB34-270.HTM

[寸言}
いかなる国も(民主主義/自由主義国も)戦争になると戦争犯罪を犯す。しかし、自国だけは、そのような残虐行為はしない(したとしても一部の、上官の命令に従わない不良軍人だけだ)と言い張る。
日本の石井中将が率いる731部隊による大規模な人体事件などは、証拠がそろいすぎているので否定しようがないが、米ソが石井部隊の実験結果を入手したくて、いわゆる司法取引をもちかけ、極東軍事裁判でも裁かれないことになってしまった。最近では、極東軍事裁判は「戦勝国が敗戦国を裁いた一方的な裁判であった」という取り上げ方はよくされるが、戦勝国の立場からではない、人類の立場から見なおした、本来裁かれるべき戦争犯罪人のことをなぜもっと取り上げないのだろうか?
「戦後レジュームからの脱却」を(仲間内にさかんに)言う安倍総理に取り上げてもらいたいものだが・・・。え? 「未来志向」だからそんなことはしないって・・・!?
https://ja.wikipedia.org/wiki/731%E9%83%A8%E9%9A%8A