専門家(学識経験者)の意見に頼り過ぎる一般市民

 「ラッセルの言葉366(Word Press 版)」(2015.09.17)

KNOWLEDG-233x300 現代社会においては,専門家の重要性がしだいに増してきているが,その予期しない,また意図しない結果の1つは,かつては自分の力を発揮しえた人間生活のほとんどの分野で,’平均的な普通の人間’は皆「受身」になっているということである。

One of the unforeseen and unintended results of the increasing importance of experts in the modern world is that, in a great many departments of life, the ordinary man has become passive where he used to be active.
出典: Are we too passive? (written in Feb. 3, 1932 and pub. in Mortals and Others, v.1, 1975)
詳細情報:http://russell-j.com/PASSIVE.HTM

[寸言]
テレビや新聞を全然見ない(あるいはみない主義の)人もいますが,大部分の人々は毎日マスコミづけとなっており,それらのメディアから多くの情報を得たり,種々の娯楽を享受したりしています。これには国民の共通理解のスピードアップ(ただし,あくまで可能性)というプラス面もありますが,自分の頭で考える,またそのために主体的に情報を収集するという,一個の独立した市民として一番重要な能力の一つを身につけることがおろそかになる危険性もあります。

‘短命な形の賞賛’を追い求める現代人

BR-WOW 新聞「注:現在でいえばテレビなどのマスコミ)の発達に伴い,昔と比べ,現代では,死後の名声に対する欲求が減少した。現世での名声は,現在では,昔では考えられなかったほどずっと大きなものになったので,昔のように歴史に名を残して後世の読者のかすかな賞賛を求めようとする人は,ほとんど見あたらなくなった。現代の映画スターの名声は,最盛期のアレクサンダー大王やジュリアス・シーザーの名声をはるかに上まわる。アルキメデスの名前を彼が生きていた時代から今日までに知った人の数よりも,現在アインシュタインの名を知っている人の数の方が多いだろう。全てがこのようであるため,その結果,現代人は昔の人に比べてはるかに’短命な形の賞賛’を追い求めることになる。人間の行いは今では昔とことなり威厳がなくなり,広く大衆にアピールすることに努力がなされるようになる。 (注:ラッセルはアインシュタインを非常に高く評価しています。誤解を生じるといけないので、念のため蛇足です。)

The desire for posthumous fame has grown less than it was in those days, because of the growth of newspapers. Contemporary fame can now be much greater than it could be in former times that it has almost crowded out the wish for the slender trickle of admiration derivable from the readers of history. The fame of a film star at the present day far exceeds that of Alexander or Caesar at the height of his career. Probably more people know the name of Einstein now than have known the name of Archimedes in all the centuries from his day to our own. The effect of all this is that admiration is sought in more ephemeral forms than those formerly desired. Men’s work becomes less statuesque, and there is more effort to make it appeal to all and sundry.
出典: Whose admiration do you desire? (written in Dec. 12, 1931 and pub. in Mortals and Others, v.1, 1975.)
詳細情報:http://russell-j.com/ADMIRE.HTM

「ラッセルの言葉366」再開のお知らせ (B. Russell Quotes 366, restart!)

 「ラッセルの言葉366(v.1)」が,6月28日に不具合発生のために使用できなくなりました。復旧の見通しが今のところたたないため、別サイトをたちあげ、再開することにしました。(このサイトに対応したメルマガも再開する予定です。
http://melma.com/backnumber_198672/   )
ご愛読,よろしくお願いいたします。(2015.09.16)

旧サイト http://russell-j.com/russell-j.sakura.ne.jp/
(旧サイトは,最後の塊のページ(数件)のみしか見られません。)

DOKUSH37-2

 

2022年はラッセル生誕150年