ほとんどの人は自分の知性よりも激情に従う方が楽だと考える。しかし,もしもその罰としての結果が飢餓であれば,我々(彼らも)もやがては合理的であることを受け入れるであろう。普遍的繁栄の条件は極めて単純で周知のことであるが,それには我々のものの感じ方の習慣の変更が必要である。それゆえ,世界大恐慌の教訓が人間の心の奥底に深く沈殿した時(例:1929年世界大恐慌直後)にのみ,採用されることだろう。
Most people find it pleasanter to follow their passions rather than their intelligence, but when the penalty is starvation, they will, in the long run, submit to being reasonable. The conditions of universal prosperity are quite simple and well known, but they involve changes in our habits of feeling, and will, therefore, only be adopted when the lessons of the Depression have sunk deep into men’s minds.
出典:Bertrand Russell: The consolations of history, Feb. 22 1933. In: Mortals and Others, v.1 (1975)
詳細情報:http://russell-j.com/REK-NAGU.HTM
<寸言>
リーマン・ショック,サブプライムローンの破綻など,米国では数年に1度,大きな経済破綻が起こることが当たり前のことになってしまっている。景気が一見よいように見えて,ある日突然歯車が狂って,経済恐慌が起こってしまう。
次は中国のバブルが崩壊するのではないかと言われている。現在の中国経済は世界経済にしっかり組み込まれているので,中国バブルがはじけた場合には,リーマン・ショックどころではない影響が世界中に及ぶと言われている。
しかし人々はうっすら不安をかかえながらも,実体経済がそれほどよくないのに(また実質賃金が減り続けているのに)、株があがったと喜び,今のうちに株で儲けよう,バブルがはじける直前に売り抜けようと,浅ましい気持ちで株価の変動に一喜一憂している。政府も自作自演で株価を高騰に導こうと,博打的な手を打ち(政府から独立しているはずの日銀やなどを介し,またGPIFが巨額の年金資金を株の購入に費やし),国民をごまかそうとしている。・・・。