「歴史の慰め」

 子供は自分が不幸な間は,彼の視界全体が現在の悲惨事で一杯になり,自分の過去と未来の人生は霧にかすんでしまう。(しかし)我々は,成人するにつれて,(たとえば)歯が痛くなってもそれは永久に続かないという経験を思い出すことができるようになる。我々は,自分の過去の経験から引き出すこの種の慰めと同種のものを,もっと大規模に人類の過去の歴史から引き出すことができる。今日の世界の状態はかなり悪いため,歴史の知識のない人間は,過去にこれほど酷い状態にあった時代はなかっただろう思いがちである。

When a child is unhappy, his whole horison is bounded by his misery, and the earlier and later times of his own life become dim. As we grow older we become able to remember when we have the toothache that it will not last for ever. The same kind of comfort which we thus derive from our own past experience can be derived in even greater measure from the past history of mankind. The world is in a bad way at present, and those who know no history are inclined to suppose that it has never been in such a state before.
出典:Bertrand Russell: The consolations of history, Feb. 22 1933. In: Mortals and Others, v.1 (1975)
詳細情報:http://russell-j.com/REK-NAGU.HTM

<寸言>
 また数年のうちにバブルが世界のどこかで弾けるように思われる。アベノミクスが失敗すれば(失敗したということが明らかになれば),「想定外」のことが起こったためと,また外部要因のせいにするであろう。いや,それはバブル崩壊ではなく,南海トラフ大地震であったり,富士山の大噴火であったり,東京(関東)直下型大地震であったりするかも知れない。それらの大災害が発生した時,オリンピック熱で大災害のことを考えないようにしてきた国民は・・・?

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