女性に対する、男女それぞれの、根深い不合理な態度は、小説のなかに – 特に駄作の(くだらない)小説のなかに- 見ることができるだろう(見られるだろう)。男によって書かれた下らない小説(駄作)のなかには、その作者が愛している女性が登場するが、彼女は、通常は、あらゆる魅力を備えているが、いくらか頼りなく、そうして(従って)男性による保護を必要とする。けれども、時折、シェイクスピアのクレオパトラのように、その女性は激しい憎悪の対象であり、非常に絶望的に邪悪であると考えられる。(小説の中の)ヒロイン(女主人公)を描写するにあたって、男性の作家は観察をもとにして書くのではなく、単に彼自身の情緒を(表現することを)目指すにすぎない。
(訳注:「objectives」を名詞としてとると、この一文(In portraying the heroine, the male author does not write from observation, but merely objectives his own emotions.)は何か単語が脱落してているのではないかと思えてしまいます。手元にある大きな英和辞典や英英辞典を見ても「objective」には名詞と形容詞の意味しか載っていない。そこで、ChatGPTに「objective」を動詞として使う例を尋ねると、以下の回答がありました。
【”Objective”は一般的に形容詞として使用されることが多いですが、一部の文脈では動詞としても使用されることがあります。その場合、“objective”は目標を立てる、目指す、または客観的に評価するなどの意味を持ちます。 例文: We need to objective our goals before we start working on the project.(プロジェクトに取り組む前に、目標を立てる必要があります。)】
need to の後ろに来るこの例なら「objective」が動詞としてつかわれているのではないかと想像できますが、この例ではなかなか気づけません。】
(ヒロイン以外の)その他の女性の登場人物(characters)については、彼はもっと客観的であり、彼は自分の手帳(創作ノート/メモ帳)に頼ることさえあるかもしれない。 しかし、彼(作者)が恋している時には、彼の情熱が彼と彼の熱愛対象との間に霧をかけるのである。 女性の小説家にも また、彼女の小説のなかに二種類の女性を登場させる。一種類は彼女自身で、性的魅力があり、優しく、邪悪な人間にとっては肉欲の対象、善良な人間にとっては愛情の対象であり、感じやすく、心は気高く、そうしていつも誤解される(のである)。もう一種類は、自分以外の全ての女性によって示されるものであり、通常は(多くの場合)けちで、意地が悪く、残忍で、人を騙す人間として描かれる。(訳注:ラッセルは、あくまでも駄作=三文小説の場合について言っています。)先入観なく女性を見ることは、男性にとっても女性にとっても容易なことではないように思われるであろう。
Outline of Intellectual Rubbish (1943), n.45 T
he deeply irrational attitude of each sex toward women may be seen in novels, particularly in bad novels. In bad novels by men, there is the woman with whom the author is in love, who usually possesses every charm, but is somewhat helpless, and requires male protection; sometimes, however, like Shakespeare’s Cleopatra, she is an object of exasperated hatred, and is thought to be deeply and desperately wicked. In portraying the heroine, the male author does not write from observation, but merely objectives his own emotions. In regard to his other female characters, he is more objective, and may even depend upon his notebook; but when he is in love, his passion makes a mist between him and the object of his devotion. Women novelists, also, have two kinds of women in their books. One is themselves, glamorous and kind, and object of lust to the wicked and of love to the good, sensitive, high-souled, and constantly misjudged. The other kind is represented by all other women, and is usually portrayed as petty, spiteful, cruel, and deceitful. It would seem that to judge women without bias is not easy either for men or for women. Reprinted in: Unpopular Essays, 1950, chapter 7: More info.: http://www.ditext.com/russell/rubbish.html
楽天アフィリエイトの成果(ポイント)は本ホームページのメンテナンス費用にあてさせていただきます。ご協力よろしくお願いいたします!