ラッセル『権力-その歴史と心理』第3章 権力の形態 n.20

 民主主義国において(人を)政治家として成功させる資質は,時代の性格とともに変化する。平時(平穏な時代)と戦時革命時とではその資質は同一で はない。平時においては,堅実さと健全な判断を持っているという印象さえ与 えれば成功するかもしれない。しかし興奮(動揺)の時代においては,もっと 他の資質が必要である。そのような時代においては,(人々に)感銘を与える 演説のできる人であることが必要である。(ただし)必ずしも,因襲的な意味 での雄弁家である必要はない。ロベスピエールもレーニンも雄弁家ではなかっ たが,断固としており,情熱的で,大胆であった。情熱は,冷静かつ抑制され ているかもしれないが,(必ず)存在しなくてはならず,感ぜられなければな らない。興奮の時代においては,政治家は,推論する力(理性)も,客観的な (非個人的な)事実を把握するカも,知恵も,まったく必要としない。そのよ うな時代の政治家が持っていなければならないものは,大衆が望んでいるもの (欲求しているもの)は必ず獲得することができることを,またそれを達成できるのは政治家の自分であることを大衆に信じ込ませる能力である。

The qualities which make a successful politician in a democracy vary according to the character of the times ; they are not the same in quiet times as they are during war or revolution. In quiet times, a man may succeed by giving an impression of solidity and sound judgment , but in times of excitement something more is needed. At such times, it is necessary to be an impressive speaker–not necessarily eloquent in the conventional sense, for Robespierre and Lenin were not eloquent , but determined, passionate, and bold. The passion may be cold and controlled, but must exist and be felt. In excited times, a politician needs no power of reasoning, no apprehension of impersonal facts, and no shred of wisdom. What he must have is the capacity of persuading the multitude that what they passionately desire is attainable, and that he, through his ruthless determination, is the man to attain it.
 出典: Power, 1938.
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/POWER03_200.HTM

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