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ラッセル『権力』(松下彰良・訳)

Power, 1938, by Bertrand Russell

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第3章 権力の形態 n.20


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 民主主義国において(人を)政治家として成功させる資質は,時代の性格とともに変化する。平時(平穏な時代)戦時や革命時ではその資質は同一ではない。平時においては,堅実さ健全な判断を持っているという印象さえ与えれば成功するかもしれない。しかし興奮(動揺)の時代においては,もっと他の資質が必要である。そのような時代には,感銘を与える演説のできる人であることが必要である。(ただし)必ずしも,因襲的な意味での雄弁家である必要はない。ロベスピエールレーニン雄弁家ではなかったが,断固としており,情熱的で,大胆であった。情熱は,冷静かつ抑制されているかもしれないが,(必ず)存在しなくてはならず,感ぜられなければならない。興奮した時代においては,政治家は,推論する力(理性)も,客観的な(非個人的な)事実を把握する力も,知恵も,まったく必要としない。そのような時代の政治家が持っていなければならないものは,彼ら(大衆)が望んでいるもの(欲求しているもの)は必ず獲得することができることを,またそれを達成できるのは政治家の自分であると大衆に信じ込ませる能力である。

Chapter III: The Forms of Power, n.20

The qualities which make a successful politician in a democracy vary according to the character of the times ; they are not the same in quiet times as they are during war or revolution. In quiet times, a man may succeed by giving an impression of solidity and sound judgment, but in times of excitement something more is needed. At such times, it is necessary to be an impressive speaker--not necessarily eloquent in the conventional sense, for Robespierre and Lenin were not eloquent, but determined, passionate, and bold. The passion may be cold and controlled, but must exist and be felt. In excited times, a politician needs no power of reasoning, no apprehension of impersonal facts, and no shred of wisdom. What he must have is the capacity of persuading the multitude that what they passionately desire is attainable, and that he, through his ruthless determination, is the man to attain it.

(掲載日:2017.04.29/更新日: )