我々は,まず一つの区別をしておかなければならない。即ち,一部の人びとにとって望ましい性質もあれば,普遍的に(誰にとっても)望ましい性質もある,ということである。我々は,芸術家を必要とする。しかし,同時に科学者も必要とする。すぐれた行政官も必要とするが,同時に農夫や粉屋やバン屋も必要とする。ある方面で非常に優れた人を生かす性質(特質)も,それを全ての人が持てば望ましくない,ということもよくある。
We must first make a distinction: some qualities are desirable in a certain proportion of mankind, others are desirable universally. We want artists, but we also want men of science. We want great administrators, but we also want ploughmen and millers and bakers. The qualities which produce a man of great eminence in some one direction are often such as might be undesirable if they were universal.
出典: On Education, especially in early childhood, 1926, chap. 2: The Aims of Education
詳細情報:http://russell-j.com/beginner/OE02-100.HTM
<寸言>
常識的な物言いであり、多くの人がそのとおりと思うだろうが、一部の人間、とくに権力者は、軍人にふさわしい資質を多くの国民に教育や躾によって身につけさせたいと思ったりする。たとえば、幼稚園児に軍事訓練の真似事のようなことをさせようなんて普通は思わないが、愛国精神を判断力のない幼児に吹き込もうとしてきた塚本幼稚園(籠池園長)のような人間やそれを称揚する政治家や御用評論家もけっこういる