また,仕事以外について興味をたくさん持っていれば,持っていない場合よりも,仕事を忘れるべきときに忘れることがずっと容易になる。ただし,こういう興味は,一日の仕事で使い果たしてしまったところの能力を使うものであってはならないというのは,最重要なことである。こうした興味は,意志とか即座の決断とかを伴うものであってはならず,ギャンブル(賭け事)のように金銭的な要素を含むものであってもならず,また,原則として,感情を疲労させ,意識だけでなく無意識の心の注意をうばうほど興奮させるものであってはならない。
And it is very much easier to forget work at the times when it ought to be forgotten if a man has many interests other than his work than it is if he has not. It is, however, essential that these interests should not exercise those very faculties which have been exhausted by his day’s work. They should not involve will and quick decision, they should not, like gambling, involve any financial element, and they should as a rule not be so exciting as to produce emotional fatigue and preoccupy the subconscious as well as the conscious mind.
出典: The Conquest of Happiness, 1930, chap. 15: Impersonal Interests]
詳細情報:http://russell-j.com/beginner/HA26-010.HTM
<寸言>
気分転換のうまい人とへたな人。
金銭づく・損得づくのものの場合には,気分転換になっているつもりでも,実際はそうなっていない場合が多い。スポーツ観戦であっても,自分が応援しているチームや選手が敗ける試合は気分転換になるどころか,精神的疲労をもたらすものになってしまう。酒や煙草も,量を厳格にコントロールできる意志力のある人の場合はある程度気分転換になるだろうが,長い目で見れば,健康の面で悪い影響を与える場合が多い。少しくらい寿命を縮めても,好きなものを食べたり飲んだりしたほうよいと主張しても,体をこわせば反省することになる。
後悔先にたたず。