真の美徳は,力強く,真実から目をそらさぬものであって,綺麗事だらけの空想ではない。我々は教職に就く者に様々な制限を設けてきたので,今日教職を仕事として選ぶ男女は,大分部,現実との接触を恐れる人々に限られてしまっている。我々がこのような政策をとる理由は,自分達大人には現実との接触が有益だったことが分っているのに,子供が現実と接触することが良いと思う勇気ある人が少ないからである。
Real virtue is robust and in contact with facts, not with pretty-pretty fancies. We have chosen to hedge round the profession of teaching with such restrictions that, in the main, those who choose this profession are men and women who are afraid of reality, and we have done this because, while many of us recognise that contact with reality has been good for us, few of us have the courage to believe that it is good for our children. This is the fundamental reason why education, as it exists, is so unsatisfactory.
出典: Does education do harm? (written in Feb. 17, 1932 and pub. in Mortals and Others, v.1, 1975.)]
詳細情報:https://russell-j.com/EDU-HARM.HTM
<寸言>
たとえば,教科書検定など本当に必要か? 特に,歴史教科書の検定は「国民」にとって必要だろうか? 必要であるとするならば,国際的な委員会を組織して「標準世界史」を作り,その記述内容を前提として,それぞれの国で(世界史成立以前の)「各国史」と(世界史成立以後の)地域史としての「各国史」を作ればよいのではないか。
教員を萎縮させる制度や教員評価((例:「政府や政権/与党」の批判厳禁)はよくない。
愛国主義的な考えを若者に植えつけるための歴史教科書の検定,「いじめの問題の解決」を隠れ蓑にした教育委員会制度の改悪,大学院における教員の再教育を利用した教員の管理の強化,過重労働をせざるをえないやり方等々。