哲学と科学と神学との関係 - 三すくみ?


sansukumi_3way 我々が「哲学的」(philosophical)と呼んでいるところの,人生や世界に関する諸概念は,2つの要因から産み出されたものである。1つは,過去から受け継がれてきた宗教的,倫理的概念という要因であり,もう1つは,最も広義の意味で「科学的」(scientific)と呼んでよい種類の研究という要因である。個々の哲学者は,これら2つの要因が彼らの哲学体系に入りこむ割合に関して,非常な相違があったが,とにかくなんらかの程度で,この2つがともに存在していることが,哲学を特徴づけているのである。
「哲学」という語は,ある者は広義な意味で,ある者は狭義の意味でというように,これまで多様な意味で使われてきた。私はそれを非常に広い意味で使うことを提案する。これからその説明を試みよう。
私がその言葉で理解したいところの「哲学」は,神学と科学との中間に位置するものである。神学と同様に,哲学も,これまで明確な知識を主張し得なかったような事柄に関する思弁から成り立っている。しかし,また,哲学は、科学と同様に,伝統という権威であれ,啓示という権威であれ,とにかく権威というものに訴えるよりは,人間の理性に訴えるものである。すべての明確な知識は,科学に属すると,私は主張せざるを得ない。明確な知識をこえる事柄に関するすべての独断は,神学に属している。しかし神学と科学との間には,この両方からの攻撃にさらされている未踏の領域がある。この未踏の領域が哲学である。思弁的な人々にとって最も興味ある問題のほとんど全ては,科学が解答を与え得ないようなものであり,神学者たちの自信に満ちた解答というものは,もはや過去何世紀に渡って持ち得たような説得力を有していないように思われる。

The conceptions of life and the world which we call ‘philosophical‘ are a product of two factors: one, inherited religious and ethical conceptions; the other, the sort of investigation which may be called ‘scientific’, using this word in its broadest sense. Individual philosophers have differed widely in regard to the proportions in which these two factors entered into their systems, but it is the presence of both, in some degree, that characterizes philosophy.
‘Philosophy’ is a word which has been used in many ways, some wider, some narrower. I propose to use it in a very wide sense, which I will now try to explain.
Philosophy, as I shall understand the word, is something intermediate between theology and science. Like theology, it consists of speculations on matters as to which definite knowledge has, so far, been unascertainable; but like science, it appeals to human reason rather than to authority, whether that of tradition or that of revelation. All deflnite knowledge- so I should contend- belongs to science; all dogma as to what surpasses definite knowledge belongs to theology. But between theology and science there is a No Man’s Land, exposed to attack from both sides; this No Man’s Land is philosophy. Almost all the questions of most interest to speculative minds are such as science cannot answer, and the confident answers of theologians no longer seem so convincing as they did in former centuries.
出典: A History of Western Philosophy, 1945, Introduction
詳細情報:http://russell-j.com/cool/38T-0101.HTM

[寸言]
あなたの好む哲学の立場や傾向は?

それが何であるかによって、あなたの欲求や思考傾向がわかる。哲学によって倫理的欲求を満たしたい人、たとえ人間に(あるいは自分に)不利であってもこの世の真実について知りたい人(ただし、何の意味もないというのが結論かも知れない)。あるいは、哲学によって実利を得たい人。それから、哲学を人を支配する道具として使いたい人。

あなたは哲学に何を求めますか?!

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