ラッセル『権力-その歴史と心理』第6章 むきだしの権力 n.5

僭主(僭王)という言葉は,もともと(語源的に),支配者の悪い性質(資質)を(暗に)意味していたものではなく,ただ法律上あるいは伝統的な称号を欠いているということを(暗に)意味していたにすぎない。初期の借主(僭王)たちの大部分は,賢明に統治しており,臣民(被支配者)の大多数の同意が存在していた。借主(僭王)にとって,和解しがたい唯一の敵は,一般的に言って,貴族であった。初期の借主(僭王)の大部分は,非常な金持であり,権力に至る道を金で買い,軍事的な手段よりむしろ経済的な手段で,自分の地位を維持していた。彼ら(借主(僭王))は,今日の独裁者よりも,むしろメディチ家の人々と比較されるべきである。

Chapter VI: Naked Power, n.5

The word “tyrant” did not, originally, imply any bad qualities in the ruler, but only an absence of legal or traditional title. Many of the early tyrants governed wisely, and with the consent of the majority of their subjects. Their only implacable enemies, as a rule, were the aristocrats. Most of the early tyrants were very rich men, who bought their way to power, and maintained themselves more by economic than by military means. They are to be compared rather with the Medici than with the dictators of our day.
 出典: Power, 1938.
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/POWER06_050.HTM

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です