ラッセル『結婚論』第二十一章 結論 n.4

 第二十一章 結論 n.4:

 もしも,家族(制度)の崩壊が起こるとしたらそれは喜ぶべき事柄ではない, と私には思われる。両親の愛情は,子供にとって重要であり(あるが),施設(注:保育所などの子どもを預かる「公共」施設/ここでは子どもが家庭で育てられずに原則として施設で育てられることになった場合を言っている。)は,大規模に設けられる場合,非常にお役所的かつかなり無情なものになるのは確実である。(平等の観点から)種々の(多様な)家庭環境の,差違を認める影響(力)が取り除かれる時(取り除かれれば),恐ろしいほどの画一性が生じるだろう。そして,国際政府が前もって作られているのでなければ,いろいろな国の子供たちは,敵意に満ちた愛国心を教えこまれるであろうことから,それによって,おとなになったら,互いに殺し合うようになるのは,ほぼまちがいないだろう。国際政府の必要(性)は,人口(問題)に関しても生じる。というのは,国際政府がなければ,国家主義者たちは,望ましくないほどの人口増加を奨励する動機を持って,医学と衛生学の進歩とともに,過剰人口を始末するための唯一の方法は,戦争ということになるからである。

Chapter 21: Conclusion, n.4

he break-up of the family, if it comes about, will not be, to my mind, a matter for rejoicing. The affection of parents is important to children. and institutions, if they exist on a large scale, are sure to become very official and rather harsh. There will be a terrible degree of uniformity when the differentiating influence of different home environments is removed. And unless an international Government is previously established, the children of different countries will be taught a virulent form of patriotism which will make it nearly certain that they will exterminate each other when grown up. The necessity for an international Government arises also in regard to population, since in its absence nationalists have a motive for encouraging a greater increase of numbers than is desirable, and with the progress of medicine and hygiene, the only remaining method of disposing of excessive numbers will be war.
 出典: Marriage and Morals, 1929.
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/MM21-030.HTM

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です