ラッセル『結婚論』第八章 性知識に関するタブー, n.14

第八章 性知識に関するタブー, n.14:猥褻な出版物を禁止する法律

 多くの人々は,猥褻な出版物を禁止する法律によるこれらの結果は遺憾なものであることに同意するだろう。しかし、それにもかかわらず,彼ら(多くの人々)はそのような法律は必要だと考えるであろう。私自身は,猥褻を禁止する法律で,そういった望ましくない結果をもたらさないようなものを作る(組み立てる)ことが可能だとは,考えていない。そして,この事実に鑑みて,私としては,この問題については何であれ一切法律は作らないことに賛成したい。この主張(説)を支持する議論には,二つの面がある。一つは,(猥褻出版物禁止の)いかなる法律も,悪を禁止すれば必ず善をも禁止しなければならないということ,もう一つは,疑いもなく,性教育が合理的であれば(合理的になされていれば),露骨なポルノグラフィックな出版物であってもほとんど害にならないだろうということ(である)。

Chapter VIII: The Taboo on sex knowledge, n.14

Many people will agree that these consequences of the law against obscene publications are regrettable, but they will nevertheless hold that such a law is necessary. I do not myself believe that it is possible to frame a law against obscenity which will not have these undesirable consequences, and in view of this fact, I should myself be in favour of having no law whatever upon the subject. The argument in favour of this thesis is twofold: on the one hand, that no law can forbid the bad without forbidding the good also, and on the other hand, that publications which are undoubtedly and frankly pornographic would do very little harm if sex education were rational.
出典: Marriage and Morals, 1929.
詳細情報:https://russell-j.com/beginner/MM08-160.HTM

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