ラッセル『権力-その歴史と心理』第8章 経済的な権力 n.16

 経済力と軍事力とは,今日そうであるほど,過去においては,相互に密接に結びついていたことは決してなかった。いかなる国家(民族国家)も,産業主義が発達し,かつ,原材料と食糧を手に入れることができなければ,決して,強力になることはなかった(強国になれなかった)。これに反して,諸国家が自国の領土内で手に入れることができないような原材料へのアクセスを獲得する(=原材料を入手する)のは,軍事力によってである(例:日本による満蒙「開拓」+南方の石油)。ドイツ人は,第一次大戦中,征服によって,ルーマニアの石油とウクライナの収穫物を手に入れたし,また,原材料を熱帯地方から得ている国家は,自国の軍事力かあるいは同盟国の軍事力によって,その植民地を保持している(注:本書出版の1938年頃の状況)。

Chapter VIII: Economic Power, n.16

Economic and military power have never, in the past, been so closely interconnected as they are at present. No nation can be powerful without developed industrialism and access to raw materials and food. Per contra, it is by means of military power that nations acquire access to such raw materials as are not obtainable on their own territory. The Germans, during the War, acquired by conquest the oil of Rumania and the harvest of the Ukraine and States which derive raw materials from the tropics hold their colonies by their military strength or by that of their allies.
 出典: Power, 1938.
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/POWER08_160.HTM

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