「本能」といっても,生まれてすぐに現れるとは限らず・・・

 生後2年目及び3年目には,新しい恐怖心が出てくる。こういった恐怖心がどこまで暗示によるものか,どこまで本能によるものかは,議論の余地のある問題である。生後一年目に恐怖心が存在しないとしても,そのことは,恐怖心は本能的なものではないという決定的な証拠にはならない。なぜなら,本能は何歳のときに成熟するかも知れないからである。最も極端なフロイト主義者でさえ,性本能は生まれたときから成熟していると主張する者はいないであろう。

During the second and third year, new fears develop. It is a moot point how far this is due to suggestion, and how far it is instinctive. The fact that the fears do not exist during the first year is not conclusive against their instinctive character, since an instinct may ripen at any age. Not even the most extreme Freudian would maintain that the sex-instinct is mature at birth.
出典: On Education, especially in early childhood, 1926, Pt. 2:Education of character, chap. 4: Fear.
詳細情報:https://russell-j.com/beginner/OE04-020.HTM

<寸言>
ある性質が遺伝や本能によるものか,あるいは、生まれた後の環境や躾や教育によるものか、よくわからないものがある。通常、その両方の影響だとする場合が多いが、それならどちらの要素が強いかで、人の意見は様々となる。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です