第12章 権力と統治形態 n.7

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 心理的にみて,絶対君主制の長所は明らかである。一般的に,統治者はどこかの部族あるいは党派(や党派)を征服する。そうして,彼(支配者)につき従う者たちは,自分たちは支配者の栄光を共にする者だと感ずる。キュロス(注: Cyrus ペルシア王国第7代の王であり,メディア王国に従属する小国であったペルシアをメディア王国を倒して統一王朝としてのアケメネス朝を開いた。)は,メディア王国(the Medes)に敵対し,ペルシャ人に叛旗をひるがえさせた。アレクサンダー大王は,自分に従った(故国)マケドニアの人々に権力と富を与えた。ナポレオンは革命軍(フランス市民革命軍)に勝利をもたらした。レーニンおよびヒトラーと彼らの(それぞれの)党との関係(ナチス党及びボリシェビーキ党との関係)も,(以上の例と)同種のものであった。征服者を頭に戴く部族ないし党派は,喜んで彼(征服者)に従い,彼の成功(勝利)によって,その部族や党派自身が偉くなったように感じる。彼に鎮圧された人々は,彼に対し,賞賛(admiration 感嘆)が入り交じった恐怖を感じる。政治的訓練,つまり妥協の習慣は,必要ない。唯一必要な本能的な社会的団結は,彼(征服者)に従う少数の側近集団の本能的な社会的団結のみであり,それは全てその英雄(征服者)の功績に依存しているという事実によって,容易になる(容易に得られる)のである。征服者が死ぬと,征服者の仕事は,アレクサンダー大王の場合のように,粉々になってしまうかも知れない。しかし幸いにも,有能な後継者が,その征服者の仕事が伝統的なものになるまで続けるかも知れない。