知的戯言の概要(1943) n.34

 人間の本性(人間性)は変化させることができないという教義を適用したもので、特別(特に)有害なものが一つある。それは、我々(人間)は戦争の必要性を感じるように生まれつきできているので戦争は常に存在するだろうという独断的な主張である。大部分の人々がとるような種類の食事をとり、そうして、 大部分の人々が受けるような教育を受けてきた人間は、挑発されれば闘いたくなるというのは本当である。しかし彼は、勝利のチャンスがなければ。実際には闘わないだろう。スピード違反を取り締まる警察官-(a speed cop)によって停止させらられることはとてもうっとおしいことであるが、警官の背後には国家の圧倒的な力(軍隊)が控えていることを知っているので、我々は警官とは闘わない。(また)戦争の機会がない人は、(自分の人生を)心理的に妨害されているという印象をまったく与えない。(訳注:これは「戦争は必要悪」だと言う人達への反証の意味)。(たとえば)スウェーデン1814年以来まったく戦争をしなかったが、スウェーデン人は、数年前、世界で最も幸福かつ最も満足した(満足感を持っている)国民の一つであった。いまだにそうであるかどうかは疑問であるが、それは(疑問であるのは)スウェーデンは中立国であるが、スウェーデン人は戦争にまつわる多くの悪から逃れることはできないからである。 もし政治組織が戦争を明らかに利益にならないものにさせるようなものであるならば、戦争が起こることを強制したり、戦争が起こらないために普通の人間が不幸になるというようなことは、人間性にはなにも存在していない。戦争を防止することの不可能性について〔戦争は人間性の一つだからという〕 今用いられているのとまったく同一の議論(論拠)が、かつては決闘を弁護するために使われたことがある。しかし、決闘をすることが許されないといって、心理的に妨害されていると感じる者は、我々のなかにはほとんどない。

Outline of Intellectual Rubbish (1943), n.34
There is one peculiarly pernicious application of the doctrine that human nature cannot be changed. This is the dogmatic assertion that there will always be wars, because we are so constituted that we feel a need of them. What is true is that a man who has had the kind of diet and education that most men have will wish to fight when provoked. But he will not actually fight unless he has a chance of victory. It is very annoying to be stopped by a speed cop, but we do not fight him because we know that he has the overwhelming forces of the State at his back. People who have no occasion for war do not make any impression of being psychologically thwarted. Sweden has had no war since 1814, but the Swedes were, a few years ago, one of the happiest and most contented nations in the world. I doubt whether they are so still, but that is because, though neutral, they are unable to escape many of the evils of war. If political organization were such as to make war obviously unprofitable, there is nothing in human nature that would compel its occurrence, or make average people unhappy because of its not occurring. Exactly the same arguments that are now used about the impossibility of preventing war were formerly used in defense of duelling, yet few of us feel thwarted because we are not allowed to fight duels.
Source: Bertrand Russell : An Outline of Intellectual Rubbish, 1943
Reprinted in: Unpopular Essays, 1950, chapter 7:
More info.: http://www.ditext.com/russell/rubbish.html
https://russell-j.com/cool/UE_07-340.HTM

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