ラッセル『私の哲学の発展』第16章 「非論証的推論」n.17

 第三の要請(公準)時=空の連続性の要請 (the postulate of spatio-temporal)- これは主として遠隔作用(訳注:action at a distance 遠隔作用は、物体が空間を隔てて直接力を及ぼすとするニュートンの仮説で、アインシュタインの相対性理論によって否定された)を否定することに関係している要請- である。この要請の主張するところは、隣接していない二つの事象の間に因果関係(a causal connection )がある場合、因果の連鎖には中間のリンク(鎖)が存在しなければならない、ということである。たとえば、もしBの言うことをAが聞く場合、AとBとの間に何らかの過程が介在したに違いないと我々は考える。けれども、この要請をトートロジー(恒真命題)に還元できないということに確信が持てない(もしかすると、トートロジーに還元できるかも知れない)。なぜなら、物理的な時=空はまったく推論的なもの(推測によるもの)であり(訳注:時間と空間は独立して存在するものではないという相対性理論の考えかた)、時=空における事象の順序(づけ)は因果関係に依存しているからである。(訳注:この一文が精確に何を言っているのかイマイチ理解できません。遠隔作用tというものはなく、どんなに距離が離れていても近接作用の連続によって到達できるということであれば、A=A1=・・・=Anということで、それはトートロジーだ、と言っているように思われます。)

Chapter 16: Non-Demonstrative Inference , n.17
The third postulate is that of spatio-temporal continuity, which is mainly concerned to deny action at a distance. It maintains that, when there is a causal connection between two events that are not contiguous, there must be intermediate links in the causal chain. For example, if A hears what B says, we think that some process must have intervened between A and B. I do not feel sure, however, that this postulate could not be reduced to a tautology, since physical space-time is entirely inferential and the ordering of space-time events is dependent upon causality.  
 Source: My Philosophical Development, 1959, by Bertrand Russell
 More info.: https://russell-j.com/beginner//BR_MPD_16-170.HTM

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です