政府は必ず嘘をつく- 人のよい(?)国民はそれに気づかず・・・

chomsky_uso-minshushugi (翌日の)月曜の朝(1914年8月3日),私はロンドンに行くことに決めた。私は,モレル夫妻とロンドンのベッドフォード・スクエアで昼食を共にした。そうして,オットリン・モレルが,私の考え方と全く同じであることがわかった。彼女は,下院で平和演説をするという夫フィリップの決意に賛成した。私は,エドワード・グレイ卿(注:第一次世界大戦勃発時の英国外相)の評判の演説を聞きたいと思い,下院まで出かけたが,群衆があまりに多く,院内に入れなかった。けれども,私は,フィリップ・モレルが,演説をうまくやりとげたことがわかった。
私は,その日のタ方,ロンドンのいろいろな通りを -特にトラファルガー広場の近辺を- 歩きまわり,陽気な群衆に注目し,通りすぎる人々の感情に対し自分の感性を敏感にして(感性を研ぎ澄ませて),過ごした。この日とそれに続く何日間,驚いたことに,一般の(平均的な)男女が,戦争が起こりそうなことを喜んでいるのを発見した。私は愚かにも,ほとんどの平和主義者が主張するように,戦争は,専制的かつ権謀術数に長けた政府によって,嫌がる(気の進まない)民衆に押しつけられるものである,と想像していた。
Edward_Grey エドワード・グレイ卿は,戦争が起こったら,我々英国民にフランスを支援させるべく,ひそかに手を打っており,そのことを一般国民に知られないようにするため,用意周到に嘘をついてきたことを,私は,戦争が起こる何年も前から気がついていた。グレイ卿がいかに国民をだましてきたか,国民が知ったら,さぞかし立腹するだろうと,素朴に想像していた。しかし怒るかわりに,国民は自分たちにも倫理的責任の一端を担わせてくれたグレイ卿に,感謝したのである(注:言うまでもなく,皮肉)

On the Monday morning I decided to go to London. I lunched with the Morrells at Bedford Square, and found Ottoline entirely of my way of thinking. She agreed with Philip’s determination to make a pacifist speech in the House. I went down to the House in the hope of hearing Sir Edward Grey’s famous statement, but the crowd was too great, and I failed to get in. I learned, however, that Philip had duly made his speech. I spent the evening walking round the streets, especially in the neighbourhood of Trafalgar Square, noticing cheering crowds, and making myself sensitive to the emotions of passers-by. During this and the following days I discovered to my amazement that average men and women were delighted at the prospect of war. I had fondly imagined, what most pacifists contended, that wars were forced upon a reluctant population by despotic and Machiavellian governments. I had noticed during previous years how carefully Sir Edward Grey lied in order to prevent the public from knowing the methods by which he was committing us to the support of France in the event of war. I naively imagined that when the public discovered how he had lied to them, they would be annoyed; instead of which, they were grateful to him for having spared them the moral responsibility.
出典: The Autobiography of Bertrand Russell, v.2 chap. 1:Tje First War, 1968]
詳細情報:http://russell-j.com/beginner/AB21-020.HTM

[寸言}
人間性の嫌な側面。それを情報操作や宣伝や教育(愛国心教育ほか)で利用する政府。「ナチスの手口」をまねればよいと(半分冗談、半分本気)で言ったとしても副総理(アッソウ? 麻生)を続けていられる日本社会。日本社会の民度(民主主義のレベル)はそんなものか!? 某国は非民主的だと威張って(軽蔑して)いられないのではないか?

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