現実的な政治家の非現実性

russell-einst_manifesto アインシュタインのような人物が戦争に関する自明な真理を世間に向かって言っているのに世間は耳をかさない。アインシュタインの言うことが難しくて理解できないかぎりは,彼は賢明な人物だと考えられるが,彼がすべての人が理解できることを述べると彼の知恵はもう底をついたと考えられる。この種の愚行において,各国政府は指導的役割を果たす。政治家政権にしがみついていたいために,自国を破滅に導いても構わないと考えるらしい。これ以上の邪悪さは容易に想像できない。

Men like Einstein proclaim obvious truths about war but are not listened to. So long as Einstein is unintelligible, he is thought wise, but as soon as he says anything that people can understand, it is thought that his wisdom has departed from him. In this folly, governments take a leading part. It seems that politicians would rather lead their countries to destruction than not be in the government. A greater depth of wickedness than this it is not easy to imagine.
出典: Do governments desire war? (written in Aug. 24, 1931 and pub. in Mortals and Others, v.1, 1975.]
詳細情報:https://russell-j.com/DESIRE-W.HTM

[寸言]
日本は法的拘束力のない核兵器全廃条約」を提出し続けてきたが、国連の「核兵器禁止条約」(法的拘束力のあるもの)に対しては、従来は「棄権」してきたが、今回は「反対」に回った。これは、米国側からアメリカの「核の笠」で守られてくる国がこの条約に賛成するのはおかしい(反対票を投じるように)との強い要請に応じたものであった。その見返りに、米国は、従来、日本提案の「核兵器全廃条約」(法的拘束力のない理想をのべたもの)を棄権してきたが、今回、賛成に回った。(皮肉なことに、北朝鮮は「核兵器禁止条約」賛成の立場に回っている。米国の核がなければ自分たちも核を持つ必要がないというアピールであろう。)

日本は、長年、「核兵器全廃条約」を出し続けてきたが、その間に核兵器保有国は減るどころか少しずつ増えていった。どの国も(核兵器で)自国を守る権利があるというのなら、世界中が核兵器を保有することになったらどうなるというのか? 既に核兵器を保有している「核保有クラブ」国はよいが、それ以外の国はよくないというのか?

日本政府は、核兵器禁止条約は核保有国と非保有国の対立を助長するので反対に回ったと説明(注:父親が広島出身で、本人も本籍が広島にある岸田外務大臣が説明)しているが、これは単に、米国の要請を断ることができなかっただけのこと。

terrorist_nuclear-weapon 「核兵器禁止条約」と「核兵器全廃条約」のいずれが現実的な政策で、いずれが非現実的な政策だと言うのか!?

これだけ核保有国があれば、いずれテロリストが核を強奪し、テロに核が将来使用される恐れもある。広島型の1/4くらいの規模の核であれば、現在の技術では、バズーカ砲で発射することも可能だと言われているが・・・? 原発同様、そういう事態が起きない限り、「想定外」ですますつもり?

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です