ラッセル『私の哲学の発展』第4章 観念論への脇道 n,4


 私の最初の哲学書『幾何学の基礎に関する一考察』(An Essay on the Foundations of Geometry)は、給費研究員資格請求論文に手を入れたもの(推敲したもの)であったが、今の私にとってはいくらか馬鹿げたものに思われる。私はカントの問い「いかにして幾何学は可能か」をとりあげ、空間が周知の三つの変数 --その一つはユークリッド幾何学の、他の二つは非ユークリッド幾何学の変数であるが,不変の「曲率(measure of curvature)」を保持するという特性を持っている-- の一つである場合にまたその場合にのみ幾何学は可能である、と結論した。アインシュタイン革命は、こういう考え方に類するものをまったく全て一掃してしまった。アインシュタインの一般相対性理論における幾何学は、私が(それ以前に)不可能だと宣言していたところのものである(あった)。アインシュタインが自説のもととしたテンソルの理論は私にも役に立ったであろうが、アインシュタインがそれを用いるまで私はそれについて聞いたことがなかった。結局、細かい点はともかくとして、この初期の自分の著書の中に何らかの妥当なものがあるとは,私は思わない
(ウィキペディアの説明:「一般相対論において、アインシュタイン・テンソルは、エネルギーと整合性を持つような方法で、時空の曲率を記述する重力のアインシュタイン方程式の中で発生する。)

Chapter 4: Excursion into Idealism, n.4
My first philosophical book, An Essay on the Foundations of Geometry, which was an elaboration of my Fellowship dissertation, seems to me now somewhat foolish. I took up Kant’s question, ‘how is geometry possible?’ and decided that it was possible if, and only if, space was of one of the three recognized varieties, one of them Euclidean, the other two non-Euclidean but having the property of preserving a constant ‘measure of curvature’. Einstein’s revolution swept away everything at all resembling this point of view. The geometry in Einstein’s General Theory of Relativity is such as I had declared to be impossible. The theory of tensors, upon which Einstein based himself, would have been useful to me, but I never heard of it until he used it. Apart from details, I do not think that there is anything valid in this early book.  
 Source: My Philosophical Development, chap. 4,1959.  
 More info.:https://russell-j.com/beginner/BR_MPD_04-040.HTM

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です