ラッセル『宗教と科学』第4章 悪魔研究と医学 n.14

 スコットランドにおける魔女対策法は,イングランドにおける魔女対策法を廃止した同じ1736年の法律によって廃止された(注:イングランドとスコットランドは1707年に併合している)。だが,スコットランドにおいては,魔女に対する信仰は依然根強かった。1730年に出されたある法律の専門書で,「魔女は存在するかもしれないし,これまで存在してきた(だろう),また、おそらくそういったものは現在も実際に存在しているだろう,ということよりも明らかなことはない,と私には思われる。私は -事情が許せば(God willing 神許したまわば)- 刑法に関するより大部の著作のなかでそのことを明確にしたい」と述べている。スコットランド国教会(the Established Church of Scotland)のある重要な分派(分離派)の指導者たちは,1736年,その年(1736年)の堕落に関する陳述を公表した。それ(その陳述)は,ダンスや劇が奨励されていることについて不平を言っているだけでなく,「最近,魔女に対する刑法(penal statutes 刑罰法規)が廃止されたが,それは『汝,魔女を生かしておくべからず』という神の法(掟)を明文化したものに反するものである」と不平を言っている(原注:バートン「前掲書」第8巻p.410参照)。けれども,この年以後,魔女術に対する信仰は,スコットランドの教養ある人々の間で急速に衰えた

Chapter 4: Demonology and Medicine, n.14
The law against witchcraft was repealed in Scotland by the same Act of 1736 which repealed it in England. But in Scotland the belief was still vigorous. A professional text-book of law, published in 1730, says : “ Nothing seems plainer to me than that there may be and have been witches, and that perhaps such are now actually existing ; which I intend, God willing, to clear in a larger work concerning the criminal law.” The leaders of an important secession from the Established Church of Scotland published, in 1736, a statement on the depravity of the age. It complained that not only were dancing and the theatre encouraged, but “of late the penal statutes against witches have been repealed, contrary to the express letter of the law of God — ‘Thou shalt not suffer a witch to live.’ (note: Burton, op. cit., Vol. VIII, p.410) After this date, however, the belief in witchcraft rapidly decayed among educated people in Scotland.
 出典:Religion and Science, 1935, chapt. 4:
 情報源:https://russell-j.com/beginner/RS1935_04-140.HTM

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