宗教と科学』第3章 進化 n.5


 18世紀は,ニュートン(1642-1727)から,敬虔という特有の焼印を手に入れた。その焼印(brand 商標)において,は,必然的に,最初に世界を創造した立法者(Lawgiver)として現れ,その後,神がまったく介在する必要なしにあらゆる出来事を決定するルールを神は創った(のである)。(しかしキリスト教の)正統派(正統主義者たち)は例外を認めた。(即ち)そこには宗教と結びついた奇蹟が存在していた。しかし,理神論者(deists 世界・宇宙の創造者としての神は認めるが、神の啓示を否定し,宇宙創造以後の宇宙は自己発展する力を持つという哲学・神学説を唱える者を言う。 理神論者は,奇跡・予言などによる神の介入はあり得ないとして排斥する。)にとっては,全てのことが,例外なく,自然の法則によって規定された(のである)。この両方の見解が,ポープ(注:Alexander Pope,1688-1744:18世紀の英国を代表する詩人)の「人間論」の中に見出される。この本の一節で彼はこう言っている。  最初の全能なる原因(神)は,局部的な法則によってではなく,普遍的な法則によって働く(作用する)。例外はごくわずか。 (注:ポープは「例外がある」と言っている)  しかし,正統派の要求が忘れられると,例外は姿を消す。 (注:同じ詩の別のところで「例外はない」と言っているということ)  自然の鎖(自然というひと繋がりの鎖)から,十番目にしろ,一万番目にしろ,どの輸であってももし取り外すならば,鎖そのものが壊れてしまう。  そうして,もし個々の体系が少しずつ横揺れすれば(ヨロヨロすれば),同じように素晴らしい全体も横揺れする(ヨロヨロする)。  そのほんの少しの混乱は,一つの体系だけでなく,全てに及び,その一つの体系だけでなく,全体の体系が崩壊しなければならない。  地球をその(正規の)軌道から飛出させるなら,惑星も太陽も,空を無法則に走る(ことになる)。支配する天使たちを彼らが現在いる領域から放り出すなら,存在は存在につまづき,世界は世界につまづく(Being on being wreck’d, and world on world?)。天界の全ての土台はその中心に傾き,自然は神の王座に向って震動する。

Chapter 3: Evolution, n.5

From Newton the eighteenth century acquired its peculiar brand of piety, in which God appeared essentially as the Lawgiver, who first created the world, and then made rules which determined all further events without any need of His special intervention. The orthodox allowed exceptions : there were the miracles connected with religion. But for the deists everything, without exception, was regulated by natural law. Both views are to be found in Pope’s Essay on Man. Thus in one passage he says : The first Almighty Cause Acts not by partial, but by general laws ; The exceptions few. But when the demands of orthodoxy are forgotten, the exceptions disappear : From Nature’s chain whatever link you strike, Tenth, or ten thousandth, breaks the chain alike. And if each system in gradation roll Alike essential to the amazing whole, The least confusion not in one, but all That system only, but the whole must fall. Let earth unbalanced from her orbit fly, Planets and suns run lawless through the sky ; Let ruling angels from their spheres be hurl’d, Being on being wreck’d, and world on world ; Heaven’s whole foundations to their centre nod, And Nature tremble, to the throne of God !
 出典:Religion and Science, 1935, chapt. 3: Evolution.
 情報源:https://russell-j.com/beginner/RS1935_03-050.HTM

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