ラッセル『権力-その歴史と心理』第8章 経済的な権力 n.13


 経済力(経済的権力)の保有は,軍事力あるいは(政治的)宣伝力の保有へと導くかもしれない(可能性はある)。しかし,それと正反対のプロセス(注:軍事力等の保有が経済力の保有へと導くこと)も,まったく同じように,起こりがちである。原始的な状態のもとでは(注:社会が未発達な状態にある場合)いろいろな国の間の関係ということに関するかぎり,軍事力は,通例,(軍事力以外の)他の種類の権力の源泉である。アレクサンダー大王はペルシャ人ほど裕福ではなかったし,ローマ人もカルタゴ人ほど裕福ではなかった。しかし,戦争における勝利によって,征服者は,いずれの場合においても,自分たちの敵よりもより裕福にすることができた。(即ち)回教徒たち(イスラム教徒たち)も,その征服歴の当初においては,ビザンチン人よりもずっと貧しかったし,チュートン人侵入者たちも西口ーマ帝国(the Western Empire)より貧乏であった。これらすべての場合(事例)において,軍事力は経済力(経済的権力)の源泉であった。しかし,アラブ国家の内部においては,予言者モハメッドとその家族の軍事力及び経済力(経済的権力)は,宣伝から来たものであった。西洋における(カトリック)教会の権力と富もまたそうであった。

Chapter VIII: Economic Power, n.13

The possession of economic power may lead to the possession of military or propaganda power, but the opposite process is just as apt to occur. Under primitive conditions, military power is usually the source of other kinds, in so far as the relations between different countries are concerned. Alexander was not as rich as the Persians, and the Romans were not as rich as the Carthaginians ; but by victory in war the conquerors, in each case, made themselves richer than their enemies. The Mohammedans, at the beginning of their career of conquest, were very much poorer than the Byzantines, and the Teutonic invaders were poorer than the Western Empire. In all these cases, military power was the source of economic power. But within the Arab nation, the military and economic power of the Prophet and his family was derived from propaganda; so was the power and wealth of the Church in the West.
 出典: Power, 1938.
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/POWER08_130.HTM

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