ラッセル『権力-その歴史と心理』第8章 経済的な権力 n.9


 労働組合の権力は,金持ちの権力のちょうど逆である。労働組合は,有色労働(者)を閉めだしたままにできるし,自分たちの死滅を防ぐこともできるし,重い相統税(death duties)と所得税を確保することもできるし(注:富裕層により税率の高い税金を課すことを要求できるし),自分たちが宣伝を行う自由を保持することもできる。しかし,労働組合は,今日までのところ,社会主義をもたらすことに失敗している(できていない)。あるいは(言いかえれば),自分たち(労働組合関係者)は好きだが国民の大多数が信用していない政府に政権を握らせることに失敗している(できてこなかった)。

 このようにして,民主主義国において,政治的決定に影響を及ぼす経済組織(注:労働組合もその一つ)の権力は,世論によって制限され,世論は、多くの重要な論点に関してきわめて強烈な宣伝によってでさえ揺り動かされること(意見を左右されること)を拒否する(のである)。民主主義は,それが存在する場合には形だけの民主主義でない場合には),資本主義の多くの反対者が進んで認める以上に,現実性(真実性)をもっている(注:形骸化せずに機能している)(のである)。

Chapter VIII: Economic Power, n.9

The power of trade unions is the converse of the power of the rich. Trade unions can keep out coloured labour, prevent their own extinction, secure heavy death duties and income tax, and preserve freedom for their own propaganda. But they have failed hitherto to bring about Socialism, or to keep in power governments which they liked but which a majority of the nation distrusted.
Thus the power of economic organizations to influence political decisions in a democracy is limited by public opinion, which, on many important issues, refuses to be swayed even by very intensive propaganda. Democracy, where it exists, has more reality than many opponents of capitalism are willing to admit.
 出典: Power, 1938.
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/POWER08_090.HTM

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