ラッセル『権力-その歴史と心理』第一章 n.9


 社会力学の諸法則は -私は(以下のように)強く主張したいが- 種々の形態の権力の観点によってのみ,述べる(説明する)ことができる。こうした諸法則を発見するためには,まず権力の形態を分類することが必要であり,その次に,(いろいろな)組織体や(いろいろな)個人が我々の生活に対する統制(力)を獲得するに到った道筋のなかの,歴史的に重要な諸事例を,再吟味することが必要である。

 私は,本書全体を通じて,二つの目的を抱いている。第一(の目的)は,全体としての社会変化の分析として,経済学者たちによって教えられてきたものよりもより適切な分析だと私の信ずるところのものを提示することであり,第二(の目的)は,18世紀と19世紀の考えかたに支配されている人々に対して,現在および近い将来について,現在可能であるよりも,より理解できるものにすることである(注:権力の観点から物を見ることによって現在及び近未来についてより理解できるようにする,という主張)。18紀と19世紀は,多くの点で特別な時代であり,我々は,多くの点において,それより前の時代に広く行われていた生活と思想の型に戻りつつあるように思われる。我々の時代とそのニーズ(必要性)を理解するためには,古代および中世の歴史は欠くべからざるものである。というのはそうすること(古代及び中世を理解すること)によってのみ,我々は,19世紀の公式(注:堅固な先入観)によって不当に支配されない,(我々にとって)可能な進歩の形態に到達することができるからである。

The laws of social dynamics are — so I shall contend — only capable of being stated in terms of power in its various forms. In order to discover these laws, it is necessary first to classify the forms of power, and then to review various important historical examples of the ways in which organizations and individuals have acquired control over men’s lives.
I shall have, throughout, the twofold purpose of suggesting what I believe to be a more adequate analysis of social changes in general than that which has been taught by economists, and of making the present and the probable near future more intelligible than it can be to those whose imaginations are dominated by the eighteenth and nineteenth centuries. Those centuries were in many ways exceptional, and we seem to be now returning, in a number of respects. to forms of life and thought which were prevalent in earlier ages. To understand our own time and its needs, history, both ancient and mediaeval, is indispensable, for only so can we arrive at a form of possible progress not unduly dominated by the axioms of the nineteenth century.
 出典: Power, 1938.
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/POWER01_090.HTM

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