人間は破壊的な怒りに’はけ口’を与えるような底深い不幸にとりつかれている


CV-NOEP 1914年から1918年までの第一次世界大戦は,私のあらゆるものを変えてしまった。私は学究的であること(大学人であるこよ)をやめ,新しい性格の本の執筆を始めた(後注参照)。人間性についての私の考え(理解)も一変した。ピューリタニズム(清教徒主義)は人間の幸福のためになるものではない,と初めて心から確信するようになった。(注:ラッセルが学んだトリニティ・コレッジはピューリタニズム発祥の地)(大戦による)死の(目を覆う)光景を通して,生きとし生けるもの全てに対する新しい愛を手に入れた。また,大部分の人間は破壊的な怒りに’はけ口’を与えるような底深い不幸にとりつかれており,本能的な喜びを(多くの人に)広めることによってのみ良い世界をもたらすことができる,と深く確信するようになった。
現代世界の改革者も反動主義者も同様に,種々の残酷な行為によって,歪んだ考えを持つようになっている,と思った。厳しい規律を要求するようなあらゆる目的や意図に対し疑いを持つようになった。私は共同社会のあらゆる目的に反対し,日常の(ありふれた)美徳が(敵国)ドイツ人殺戮の手段として利用されているのを発見し,完全な無律法主義者(立法廃棄論者)にならないことは非常に困難である,と経験して思った。しかし,私は,世界の不幸に対して感じた深い同情(憐憫の情)によって,この危機から救われた。

The War of 1914-18 changed everything for me. I ceased to be academic and took to writing a new kind of books. I changed my whole conception of human nature. I became for the first time deeply convinced that Puritanism does not make for human happiness. Through the spectacle of death I acquired a new love for what is living. I became convinced that most human beings are possessed by a profound unhappiness venting itself in destructive rages, and that only through the diffusion of instinctive joy can a good world be brought into being. I saw that reformers and reactionaries alike in our present world have become distorted by cruelties. I grew suspicious of all purposes demanding stern discipline. Being in opposition to the whole purpose of the community, and finding all the everyday virtues used as means for the slaughter of Germans, I experienced great difficulty in not becoming a complete Antinomian. But I was saved from this by the profound compassion which I felt for the sorrows of the world.
出典: The Autobiography of Bertrand Russell, v.2 chap. 1:The First War, 1968]
詳細情報:http://russell-j.com/beginner/AB21-330.HTM

[寸言}
1916年に,Justice in War Time と The Principles of Social Reconstruction を出版。それ以前は,哲学の入門書 The Problems of Philosophy, 1912 以外,一般の人が興味を持ちそうな popular books は書いていなかった。

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