「資本主義制度の長所」-米国での必修科目?

1939年の夏,ジョン(長男)とケイト(長女)は,学校の休暇期間中に,私たちのところにやってきた。彼らが到着して2,3日すると,第二次世界大戦が勃発した。そのため,彼らを英国に戻すことが不可能になった。そこですぐさま私は,二人のそれ以後の教育の手配をしなければならなかった。ジョンは17歳だったので,カリフォルニア大学に入学させた。しかしケイトの方はまだ15歳だったので,大学に入れるのは若すぎるように思われた。私は,ロサンゼルスでは,どの学校が一番学力水準の高い学校かということを友人たちに尋ねたところ,彼らが全部一致して推薦してくれたところが一校あった。そこでケイトをその学校に入れた。しかしその学校で教えられている科目でケイトがまだ知っていないものはたった一つしかなく,それは「資本主義制度の長所」というものであった。そのため私は,彼女は年齢が若すぎたが,大学にやらざるえなかった。
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In the summer of 1939, John and Kate came to visit us for the period of the school holidays. A few days after they arrived the War broke out, and it became impossible to send them back to England. I had to provide for their further education at a moment’s notice. John was seventeen, and I entered him at the University of California, but Kate was only fifteen, and this seemed young for the University. I made enquiries among friends as to which school in Los Angeles had the highest academic standard, and there was one that they all concurred in recommending, so I sent her there. But I found that there was only one subject taught that she did not already know, and that was the virtues of the capitalist system. I was therefore compelled, in spite of her youth, to send her to the University.
出典: The Autobiography of Bertrand Russell, v.2 chap. 6:America, 1968]
詳細情報:http://russell-j.com/beginner/AB26-020.HTM

[寸言]
戦前の日本だったら、教育勅語であり,神話の時代も含め代々の天皇の名前を暗唱することでしょうか? そのうち、代々の総理大臣の名前を暗記させることが義務教育にはいってきたりして・・・、まさかね。

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