「恐怖心」は不幸のもと(源泉/種) - 自由な世界人に子どもを育てる

fear-oikaketekuru わが子の恐怖心を払いのけてあげたいと思うのであれば,あなた自身が恐怖心をもたないようにしなければならない。あなたが雷雨を怖がれば,あなたの前ではじめて雷を聞いた時から,子供も,あなたの恐怖心に感染してしまうだろう。あなたが社会革命を恐れていることを示せば,子供はあなたが何の話をしているのかわからないので,それだけより大きな恐怖心を感じることだろう。あなたが病気のことを心配していれば,子供も病気のことを心配するだろう。
goldfish-courage 人生は危険にみちている。しかし,賢い人は,避けられない危険は無視し,また,避けられる危険は,感情をまじえず,慎重に行動する。あなたは死を避けることはできないが,遺言を残さないで死ぬことは避けることができる。それゆえ,遺言状を書き,自分が死ぬべき存在であることは忘れてしまおう。不幸に対する(抗する)合理的な備えは,恐怖心とはまったく異なるものである。それは,知恵の一部である。一方,恐怖心は全て卑屈なものである。恐怖心を感ぜずにはいられないときには,子供にそれを悟られないようにするがいい。とりわけ,子供に,幅広い物の見方と,多彩な生き生きした関心を身につけさせてあげるのがよい。そういうものは,子供が大きくなってから,自分は不幸になりはしないかとくよくよ思いわずらうことがないようにしてくれるだろう。そのようにして初めて,あなたはわが子を自由な世界人とすることができるのである。

Above all, if you wish to dispel fear in your children, be fearless yourself. If you are afraid of thunder-storms the child will catch your fear the first time he hears thunder in your presence. If you express a dread of social revolution, the child will feel a fright all the greater for not knowing what you are talking about. If you are apprehensive about illness, so will your child be. Life is full of perils, but the wise man ignores those that are inevitable, and acts prudently but without emotion as regards those that can be avoided. You cannot avoid dying, but you can avoid dying intestate ; therefore make your will, and forget that you are mortal. Rational provision against misfortune is a totally different thing from fear ; it is a part of wisdom, whereas all fear is slavish. If you can not avoid feeling fears, try to prevent your child from suspecting them. Above all, give him that wide outlook and that multiplicity of vivid interests that will prevent him, in later life, from brooding upon possibilities of personal misfortune. Only so can you make him a free citizen of the universe.
* dispel (v):追い散らす;払いのける
* apprehensive (adj.):気遣い,心配;理解する
* intestate (adj.):無遺言で
* slavish (adj.):奴隷根性の;卑屈な
出典: On Education, especially in early childhood, 1926, Pt. 2:Education of character, chap. 4: Fear.
詳細情報:http://russell-j.com/beginner/OE04-160.HTM

[寸言]
幼い頃に不合理な恐怖心を身につけると,大人になっても意識下を支配する恐怖心の悪影響を受け続けることがある。そういった恐怖心は親(が持つ恐怖心)から知らないうちに受け継いていることが少なくない。

厳しい世の中(人間関係、自然環境)に対処るすためには「備え」が必要ではあるが、そういった「備え」を一応したからには、勇気を持って世界に出て行くことが望まれる。

恐怖心を抱くものは助けてもらえそうな人や組織にしがみつくことになりやすい。為政者も、汚職や失政などで国民の支持を失うと、外敵(仮想敵国など)の非道さや邪悪さを強調して国民の恐怖心をあおり、そうすることによって国民の支持を再び得ようとすることが、歴史上、たびたびあった。現代日本においても、・・・。

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