組織化によって生じる便益・利点と弊害・欠点


 ミルの時代以来,情況を変化させたものは,前に言及したとおり,組織(化)の増加である。あらゆる組織は,ある(何らかの)目的のために個人を結合したものであり,この目的が達成されるべきものであるとしたら,ある種の個人の全体への従属が必要となる。その目的がその組織の全ての個人が強い関心を持つものであり,組織の執行部が信用(信頼)を得ていれば,個人の自由の犠牲はとても小さいかもしれない。しかし,組織の存在する目的が,執行部(幹部)のみを鼓舞し,他の人たちは(組織の目的とは)無関係な理由から執行部に従っているとすれば,それに伴っている自由の喪失はほとんど(組織)全体に及ぶまで増大する可能性がある。組織が大きくなればなるほど,頂点にいる者と底辺にいる者との間の権力の隔たりは大きなものになり,次第に抑圧が生まれてきそうである。現代の世界は,技術的理由によって,百年前の世界よりもはるかに組織化されている。(そうして)一人の人間が自分の衝動から行う行為はほとんどないような状態であり,権威(力を持っている者)によって無理にやらされるあるいは指示によってやらされる行為ははるかに多い。組織化によって生じる便益はとても大きく明らかであるため、組織化以前の状態に戻るのを望むことは愚かなことであろうが、利点のみを自覚している人たちは、とても現実的かつひしひしと身に迫っている危険を見逃しやすい。

What has changed the situation since Mill’s day is, as I remarked before, the great increase of organization. Every organization is a combination of individuals for a purpose; and, if this purpose is to be achieved, it requires a certain subordination of the individuals to the whole. If the purpose is one in which all the individuals feel a keen interest, and if the executive of the organization commands confidence, the sacrifice of liberty may be very small. But if the purpose for which the organization exists inspires only its executive, to which the other members submit for extraneous reasons, the loss of liberty involved may grow until it becomes almost total. The larger the organization, the greater becomes the gap in power between those at the top and those at the bottom, and the more likelihood there is of oppression. The modern world, for technical reasons, is very much more organized than the world of a hundred years ago: there are very many fewer acts which a man does simply from his own impulse, and very many more which he is compelled or induced to perform by some authority. The advantages that spring from organization are so great and so obvious that it would be absurd to wish to return to an earlier condition, but those who are conscious only of the advantages are apt to overlook the dangers, which are very real and very menacing.
出典: John Stuart Mill,1955.
詳細情報:http://russell-j.com/beginner/1097_JSM-140.HTM

<寸言>
組織が大きくなればなるほど,上層部にいる集団(人間)の権力及び利益は増して行く。下層にいる集団(人間)ももちろん上層部に行ける可能性はあるが、「アメリカン・ドリーム」と同様、結局は、宝くじの当選者と同様に、ごく一部に限られる。そのことはわかっているのに、小さな組織ではどのような不幸なことがあるかも知れないということで、大きな組織に入りたがる。個人的なことよりも国民や国家のことを重視すると公言する国会議員でさえも政権与党でなければ大きなこと(善いこと)もできない」と理由づけして大政党に入り、指示待ちのサラリーマン議員となっていく。

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