裁判官における「忖度」(?)


 裸の真実(紛れも無い真実/真っ赤な真実)」というフレーズ(言い回し)を創った(使い始めた)のは誰であれ,その人物は,一つの重大な関係(関連)を見て取っていた(認識していた)。(即ち)裸であることは,正しい(健全な)考えをもった人々(注:皮肉)には衝撃的であるが,真実もまたそうである。(あなたが)いかなる分野(や領域)の事に関心を持っていようとも,それはほとんど重要ではない。人はすぐに真実というものは,「上品な」人たちが(自らの)意識の中に入れたがらないものであることがわかる。私がいくらか直接的な知識を持っている訴訟事件の尋問中に法廷に出席するという不幸にあった時はいつも,いかなるむきだしの真実(真理)もそういった厳粛な表玄関から中に入り込むことは許されないという事実によって,私は苦しめられきた(悩まされてきた)。法廷にはいり込む真実(真理)とは,裸の真実(真理)ではなく,法衣をまとった真実(真理)であって,あまり格好のよくない(見苦しい)部分はみな隠されているのである。私は,これが殺人や窃盗のような直截な犯罪の裁判にあてはまると言っているのではなく,政治に係る裁判や猥褒罪に係る裁判のような,偏見の要素が入り込むような犯罪に関する全ての裁判にあてはまと言っているのである。この点については,アメリカより英国のほうがひどいと私は信じている。というのは,英国は,あらゆる不愉快なことについて,品位(上品さ)の感情によって,ほとんど目に見えない,また,半ば無意識のうちの統制(コントロール)を,完壁なものにしてきたからである。もし人が,何かまともに聞いていられないような事実を法廷で述べようと思うならば,そうすることは証言法(注:laws of evidence)に背くことになり,裁判官(判事)と反対側の弁護士ばかりでなく,自分の側の弁護士も,そのような事実(注:すぐ前の,まともに聞いていられない事実)が表に出てくるのを防ぐことであろう。

Whoever invented the phrase “the naked truth” had perceived an important connection. Nakedness is shocking to all right-minded people, and so is truth. It metters little with what department you are connected; you will soon find that rtuth is such as nice people will not admit into their consciousness. Whenever it has been my ill fortune to be present in court during the hearing of a case about which I had some first-hand knowledge, I have been struck by the fact that no crude truth is allowed to penetrate within those august portals. The truth that gets into a law court is not the naked truth but the truth in court dress, with all its less decent portions concealed. I do not say that this applies to the trial of straightforward crimes, such as murder or theft, but it applies to all those into which an element of prejudice enters, such as political trials, or trials for obscenity. I believe that in this respect England is worse than America, for England has brought to perfection the almost invisible and half-conscious control of everything unpleasant by means of feelings of decency. If you wish to mention in a law court any unassimilable fact, you will find that it is contrary to the laws of evidence to do so, and that not only the judge and the opposing counsel but also counsel on your side will prevent the said fact from coming out.
出典:Nice People, 1930 (pub. in 1931)
詳細情報:http://russell-j.com/beginner/0464NP-060.HTM

<寸言>
日本の裁判官の人事(異動)においては,最高裁判所事務総長(事務局)が大きな力を握っている。従って,事務総長が時の政権と結びついたり、権力者(首相や官房長官など)の気持ちを忖度して,彼らが気に入る判決をだす裁判官を厚遇し,気に入らない裁判官を冷遇するようになったら,大変なことになる。安保関連や原発再稼働に関する裁判の場合は,政府の意向が微妙に働いているようであり,出世第一の裁判官が増えると日本の政治的な事柄を扱う裁判は信用がおけなくなる可能性がある。

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