親(たち)は,子供(たち)には驚くほど洞察力があることを悟っていない。子供(たち(は,誤魔化すためのまじめくさった政治的理由を全て理解しているわけではなく,誤魔化しを直截かつ単純に軽蔑するのである。あなた(親)が気づいていない自分の嫉妬(心)や妬みは,子供の目にはあきらかであり,これらの情念の対象(相手)の邪悪さについて,あなた(親)がどれだけ道徳的なお話をしたとしても,子供はそれら全てを割り引いて考えるであろう。決して完全無欠な超人であるようなふりをしてはならない。子供はあなたの言うことを信じないだろうし,そのような態度をとったとしても,あなたをより好きになることはないだろう。私は,ごく幼いころ,私をとりまいていたヴィクトリア朝時代の誤魔化しと偽善を見抜いており,もし将来子供を持ったら,私に対してなされているような誤りを繰り返さないと誓ったことを,生き生きと覚えている。いま私は,力の及ぶかぎり,この誓いを守っている。
they (= parents) do not understand all the solemn political reasons for humbug, but despise it straightforwardly and simply. Jealousies and envies, of which you are unconscious, will be evident to your child, who will discount all your fine moral talk about the wickedness of the objects of these passions. Never pretend to be faultless and inhuman ; the child will not believe you, and would not like you any the better if he did. I remember vividly how, at a very early age, I saw through the Victorian humbug and hypocrisy with which I was surrounded, and vowed that, if I ever had children, I would not repeat the mistakes that were being made with me. To the best of my ability I am keeping this vow.
出典: On Education, especially in early childhood, 1926, Pt. 2:Education of character, chap. 8: Truthfulness
詳細情報:http://russell-j.com/beginner/OE08-040.HTM
<寸言>
子どもは親をいつもよく見ている。こんなことは気が付かないだろうと適当に言ったりやったりすると、子どもはなぜ親が嘘やとりつくろったりするかはわからなくても、けっこうその誤魔化しや偽善を見抜く。もちろん、勘違いも多いだろうが・・・。