「私には知的な孫は一人もいません」

lady-stanley 私(ラッセル)が12歳頃のある時,彼女(注:ラッセルの母方の祖母 Lady Stanley of Alderley)は私を部屋いっぱいの訪問客の前に立たせ,彼女が列挙した通俗科学の一連の本を読んだかどうかを私に質問した。私はそのうちの一冊も読んでいなかった。彼女は最後に嘆息をついた。そして来客の方を向いて言った。

私には知的な孫は一人もいません

彼女(祖母)は18世紀タイプの人であり,合理主義的で,想像力に乏しく,啓蒙(活動)に熱心で,ヴィクトリア朝時代の’善良ぶった口やかましさ’を軽蔑していた。彼女は(ケンブリッジ大学の)ガートン・コレッジ(Girton College)の創設に関係した主要人物の一人であり,彼女の肖像写真はガートン・ホールに掲げられているが,彼女の方針は彼女の死とともに顧みられなくなった。(松下注:因みに,ラッセルの2番目の妻ドーラは,ガートンを卒業している。)
girton-college_chapel
彼女はいつもこう言っていた

私が生きている限り,ガートンには決して礼拝堂を建てさせません。

現在の礼拝堂は,彼女が亡くなったその日に建設が始められた。
 (写真は Girton College のチャペル)

Once when I was about twelve years old, she had me before a roomful of visitors, and asked me whether I had read a whole string of books on popular science which she enumerated. I had read none of them. At the end she sighed, and turning to the visitors, said :
‘I have no intelligent grandchildren.’
She was an eighteenth-century type, rationalistic and unimaginative, keen on enlightenment, and contemptuous of Victorian goody-goody priggery. She was one of the principal people concerned in the foundation of Girton College, and her portrait hangs in Girton Hall, but her policies were abandoned at her death.
‘So long as I live’, she used to say, ‘there shall be no chapel at Girton.’
The present chapel began to be built the day she died.
出典: The Autobiography of Bertrand Russell, v.1, chap. 1, 1967]
詳細情報:http://russell-j.com/beginner/AB11-250.HTM

[寸言]
実権を握っている政治家や起業家の皆さん。気をつけてください。実権を失えばあっという間に人は去って行ってしまいます。

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