・・・ しかし,不可知論者(ラッセルもその一人)は,望ましくない行為を罰することは,(望ましくない行為の)防止または改善のためだけになされるべきであって,悪者が苦しむべきだということそれ自体が善いことだと考えて,罰せられるようなことがあってはならないと考える。人間に地獄を信じさせたのは,このような復讐的な刑罰を信じることによるのである。
… but he (= the agnostic) holds that the punishment of undesirable kinds is only to be commended when it is deterrent or reformatory, not when it is inflicted because it is thought a good thing on its own account that the wicked should suffer. It was this belief in vindictive punishment that made men accept Hell. This is part of the harm done by the notion of ‘sin’.
出典: What is an Agnostic? , Nov. 3, 1953]
詳細情報:https://russell-j.com/cool/agnostic_1953.html
<寸言>
欧米で「不可知論者(an agnostic)」と言えば,神の存在は不可知だとする立場。一神教の国ではおなじみの言葉でも多神教の日本などではピンとこない言葉のようである。
即ち、神がいると信じている人は「有神論者」。 神なんて存在しない、ありえないと強く主張する人は「無神論者」,神はいるかもしれないし、いないかもしれない、自分にはどちらも証明することは出来ないという立場を取る人は「不可知論者」ということになる。
ラッセルは理論上は「不可知論者」であるが,実質的には「無神論者」と言える。