(迷信の原因となる)神秘的なものに対する恐怖(心)


DOKUSH56 神秘的なもの(得体のしれないもの)に対する恐怖(心)は,すでに子供の恐怖に関連して,触れている。私は,この恐怖(心)は本能的なものであり,歴史的に見てきわめて重要であると信じている。大部分の迷信は,この恐怖(心)によるものである。
日蝕及び月蝕,地震,疫病,その他この種の出来事が,非科学的な人びとの間に大いに迷信をはびこらせた。迷信は,個人的にも社会的にも,非常に危険な恐怖(心)の形である。だから,若い頃にそれを根絶することは大いに望ましい。
迷信に対する適切な解毒剤は,科学的な説明である。一見して神秘的にみえるすべてについて説明してあげなくてもよい。何回かしっかりした説明が与えられれば,子供は他の場合にも説明がつくと考えるようになり、また,(説明できるはずだが)説明はまだつかないのだと教えることも可能になるだろう。
重要なことは,神秘感はただ単に無知によるものであり忍耐と知的な努力によってなくすことのできるものだという感情を,できるだけ早く持たせることである。初め神秘的な性質のために子供を怖がらせていたものが,恐怖(心)を克服するや否や,子供を喜ばせるようになるのは,注目に値する事実である。

superstition_black-catThe fear of the mysterious has been already touched upon, in connection with childish terrors. I believe this fear to be instinctive, and of immense historical importance. Most superstition is due to it. Eclipses, earthquakes, plagues, and such occurrences, arouse it in a high degree among unscientific populations. It is a very dangerous form of fear, both individually and socially ; to eradicate it in youth is therefore highly desirable. The proper antidote to it is scientific explanation. It is not necessary that everything which is mysterious at first sight should be explained, after a certain number of explanations have been given, the child will assume that there are explanations in other cases, and it will become possible to say that the explanation cannot be given yet. The important thing is to produce, as soon as possible, the feeling that the sense of mystery is only due to ignorance, which can be dispelled by patience and mental effort. It is a remarkable fact that the very things which terrify children at first by their mysterious properties delight them as soon as fear is overcome.
出典: On Education, especially in early childhood, 1926, Pt. 2:Education of character, chap. 4: Fear.
詳細情報:http://russell-j.com/beginner/OE04-120.HTM

[寸言]
chimimouryo_gosei 神秘主義(神秘的なもの)に惹かれる人が少なくない。この世の中(宇宙)には人間がまだ理解できないものが無数に存在している。しかし、それはあくまでも人間の相対的な非力さのせいであり、この世の中(宇宙)が神秘的なものであることの証拠にはならない(世界は神秘的でも、平凡でもなく、世界はあるがままのものであろう)。

人間は傲慢になってはいけないが、神秘主義や迷信に陥り、「合理的かつ論理的に思考する努力」をやめてはならない。迷信や神秘主義に陥る者は、周囲に対し偏見や先入観を抱き、非合理的な対応をすることが多く、他者(や多民族や他国)との関係で、不幸な事態を引き起こしやすい。

日本は「神国」(森元首相、日本会議のみなさん)だとか、「美しい日本の」(日本会議のみなさん、自民党の多くの議員)といった枕詞をあらゆるものにつけたりして「思考停止」をするような「反知性的な」人間になってはならない。そういった人間をこの世にたくさん生み出さないためにも、大人は自らの偏見や先入観を子どもに植え付けることなく、(保育の専門家の助けをかりながら)我が子を聡明な人間に育てなければならない。

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