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沢田允茂「バートランド・ラッセルと論理学」p.24

表紙 発刊のことば 目次  p.1 p.2 p.3 p.4 p.5 p.6 p.7 p.8 p.9 p.10 p.11 p.12 p.13 p.14 p.15 p.16 p.17 p.18 p.19 p.20 p.21 p.22 p.23 p.24 p.25 p.26 p.27 p.28 p.29 p.30 p.31 p.32 p.33 p.34 p.35 p.36 p.37 p.38 p.39 p.40 p.41 p.42 p.43 p.44 p.45 p.46 p.47 p.48 p.49 奥付
(p.24)これが論理学だと言っていいわけですが、たんにいろいろな言い方をバラバラに集めるのではなくて、一番基本的な言い方を決めておいて、それからあとはすべての正しい言い方が機械的にでてくるように、丁度、ユークリッドの幾何学が基本的な公理や規則を使って、どのような場合にも正しい定理を導出しうる公理系をなしているように、ラッセルも、左に掲げた四つの論理式を公理にして、それに代入の規則とそれから推論規則というようなものを付け加えて、命題論理学の公理系をつくったのです。
 この命題論理学は、アリストテレスの論理学ではまったくふれられていなかった部分ですから、古典論理学に対して一つの大きな、進歩であったというべきでしょう。
 

論理的主語と述語

 ところで、ラッセルの論理学上の功績というものは、命題論理学だけではないのでありまして、次に紹介しようと思いますのは、アリストテレスの論理学も全部含んでいくような、それでいてもっと広い適用範囲を持ち、しかも、命題論理学の諸原理を拡張していくことによって得られるような体系であります。私達はラッセルの論理学とアリストテレスの論理学との関係を、ニュートン、 (次のページに続く)