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沢田允茂「バートランド・ラッセルと論理学」p.15

表紙 発刊のことば 目次  p.1 p.2 p.3 p.4 p.5 p.6 p.7 p.8 p.9 p.10 p.11 p.12 p.13 p.14 p.15 p.16 p.17 p.18 p.19 p.20 p.21 p.22 p.23 p.24 p.25 p.26 p.27 p.28 p.29 p.30 p.31 p.32 p.33 p.34 p.35 p.36 p.37 p.38 p.39 p.40 p.41 p.42 p.43 p.44 p.45 p.46 p.47 p.48 p.49 奥付
(p.15)  

ブールと論理学の代数的表現

 さて、実際には役に立たないアリストテレス的な論理学をもっと拡張し、有効なものにしようと努力した人びとが前世紀の終りごろから多くあらわれてきました。特に数学者が、論理、あるいは人間の推理というような問題に対して段々と興味を持ってまいります。歴史的に申しますといろいろの人がおりますが、その代表としてブール(G. Boole, 1815-1864)という英国の有名な論理学者を挙げてみます。彼は人間の基本的な思考をあらわすのに数学的な表現をつかいます。例えばまず
 X,Y,Z,
といった記号をつかいます、'X'はXであるようなもののクラスの名前、'Y'はYであるようなもののクラスの名前をあらわします。そうして、例えば
 X・Y
というように数学的に表現しますと、丁度これは、XというクラスとYのクラスとの重なった部分、図1における斜線の部分になり、すなわち、Xという性質も持っているし同時にYという性質をもっているもののクラス、(次のページに続く)