また,あるときは,私がバートランド・ラッセル(1872-1970:イギリスの数学者・哲学者)の文章の魅力を語りつつ,ラッセルの影響を受けた論理実証主義のイギリス人哲学者 A. J. Ayer (1910-1989)の名を「エイヤー」と発音したら,(東大教養学部の小池けい教授から)「英語を専門とする人間がそんな発音をしてはいかん。あれは「エア」と読むんだよ」と注意された。・・・・
* P. F. ドラッカー(Peter, F. Drucker, 1909〜2005):米国の著名な経営学者。
* 原著:The New Realities, by P. F. Drucker, 1989.
次にご紹介する文章(ちょうど一段落分)は,本書(p.296)のなかでは,字下げがされ,引用の形になっている。しかし,どの本からとられたか,本書のどこにも書かれていない。おかしいと思い, Google Books で全文検索したところ,原書では字下げはなく,つまり,この段落は引用ではなく,ドラッカーの地の文であることが判明した。
初版本(初刷り)で,チェックが甘くて出版してしまった,ということならありうることであろうが,本書は,「新訳」となっていることから,それは理由にならず,お粗末である。(松下)
(Susan Tomes, 1954〜 ):英国を代表するピアニスト(だそうです)で文筆家。女性として初めて,英国ケンブリッジ大学のキングス・コレッジに学ぶ。訳者の小川典子氏もピアニストです。
* 原著: Out of Silence - a Pianist Yearbook, by Susan Tomes, 2010.
* スーザン・トムズのオフィシャル・ページ。
* 小川典子のオフィシャル・ページ
(p.53) 哲学者が決まり文句に反抗し,世論に反抗するのは,理性と人類に服従するからである。理性が普遍的であり,すべての国境を超えているからこそ,理性に従う哲学者は世界の市民なのである。人間が彼の対象である − この人物,あの人物ではなく,この国民,あの国民でもない。生まれた所ではなく,世界が彼の国である。
思想の革命的性質については,バートランド・ラッセルがだれよりもあざやかに表現した。『社会改造の諸原理』(Principles of Social Reconstruction, 1916)に,こう書いている。