バートランド・ラッセル『権力』(松下彰良・訳)
* 原著: Power; a new social analysis, by Bertrand Russell (London; George Allen & Unwin, 1938)総目次
第3章「権力の形態」 イントロ累積版
- 力とは,意図した結果(効果)を生み出すこと(もの)であると定義してよいであろう。
- 権力の形態を分類する多様な方法があり,そのいずれの方法にも有用性(utility 利点)がある。
- これらの権力の諸形態は、我々が動物を扱う時に,最もむき出しかつ単純に表に現れ(開陳され),そこでは,偽装や見せかけ(フリ)は必要だと考えられていない。
- (前述の)イソップ(童話)の類推をヒットラーの台頭にあてはめてみよう。
- 法の力はこうした(権力の)複雑さを例証するだろう。
- このことから(このような考察から),私たちは,伝統的な権力と新興の権力との間に存在する重要な区別に気づく。
- 伝統や同意に基礎を置いていない権力を,私は「むき出しの(裸の)」権力と呼ぼう。
- 伝統的な形態の権力が終ると,むきだしの権力ではなくて,多数の人々あるいは相当の数にのぼる少数派の積極的な同意を得ている革命的権威(権力)によって(権力が)継承されることがある(注:commanding 集めている)。
- 権力の,伝統的な(権力),革命的な(権力),むきだしの(の権力)といった区別は,心理的なもの(区別)である。
- 我々の主題についてのもう一つの区分(区別)は,組織の持つ権力と個人の持つ権力との間にあるもの(区分)である。
- 組織のタイプが異なれば,異なるタイプの個人(人間)を組織のトップに持ってくる(=異なるタイプの人間がトップに就く)。
- 世襲の権力は英国の(いわゆる)「紳士」という観念を生んだ(生じさせた)。
- 現実あるいは想像上の学問(学識)あるいは知恵を通して権力が得られる場合には、非常に異なったタイプの性格が前面に出てくる。
- 知識人は,我々も知っているように,聖職者の精神上の子孫である。
- 紳士の典型的な美徳が名誉であるのに対して,学問(学識)を通して権力を得る人の美徳は知恵(英知)である。
- 我々は既に奇妙な事実に気づいている(言及している)
- 本当のところは,学者に払われた敬意は,決して純粋の知識に対して与えられたのではなく,魔力をもっていると想像されたものに対して与えられたのである。
- 規模の大きな経済組織の発達は,新しいタイプの強力な個人を生みだしてきた。
- 政治的権力は,民主主義国においては,これまで考察してきた三種のタイプ(の人間)とはかなり異なったタイプの人間のものとなる傾向がある。
- 民主主義国において(人を)政治家として成功させる資質は,時代の性格とともに変化する。
- 民主主義下の政治家として一番成功した者は、民主主義を廃止し独裁者となることに成功した者である。
- ひとたび独裁制が確立されると,亡き独裁者の後を継いだ者の(必要とされる)資質は,最初に独裁制を創始した者の資質とはまったく異なる。
- 我々がまだ検討していない(検討してこなかった)個人の(個人が持ちうる)権力の一形態がある。